かわたん

腰辨頑張れのかわたんのレビュー・感想・評価

腰辨頑張れ(1931年製作の映画)
4.0
予想していた以上に面白かった。こんな外連味ある演出が見られるとは思ってなかった。小津映画みたいなのを予想していたため、初手からカメラの動きが多くて驚かされた。息子に詰め寄られたときの、アオリで写された父親の顔が逆光で真っ黒であったり、病室を引きで撮って右端に黒々とした影を映させたりと影の演出が分かりやすく決まっていた。
あと、見た誰もが印象に残ると思うが、フラッシュバック・モンタージュが凄いことになってる。ひろしの事故を知った際の父親のイメージは、短いスパンの中に、オーバーラップ、スプリット、ワイプ、ネガ反転等々を無理やりねじ込んで表現していた。その前にある富裕層を歪んだ鏡に写したイメージもやはり印象には残ってる。
息子の泣きかたが小津映画と一緒で笑った。子供には富裕層の子に謝ってきなさいと諭すけど、一方で自身は彼らに憎しみを抱いてるといった矛盾も面白かったと思う。これから先、成瀬監督見ていくの楽しみ。
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