デニロ

愛のお荷物のデニロのレビュー・感想・評価

愛のお荷物(1955年製作の映画)
4.0
1955年製作公開。脚本柳沢類寿 、川島雄三。監督川島雄三。

記録にはなかったけれど冒頭のカエルの群れを観て、これ観たことあると思う。が、ストーリーは全く記憶にないのでいつものことながら新鮮です。

政権与党は、人口増加対策でで産児制限をかけようと「受胎調節相談所設置法案」を提出している。へえ、そんな時代があったんだ。当時の人口は8000万人台だったそうだが爆発的に人口が増えていたらしい。出生数は令和の時代の約2倍で1730千人、合計特殊出生率は2.37等々調べると色々出てきた。おそらく問題は食料なのだろう。人口は幾何学的に増えるが、食料は算術式にしか増えない。

というような今やどーしたらみんながこどもを作ってくれるんだ、という時代の政策とは全く異なる事態です。「受胎調節相談所設置法案」を所管する厚生省の大臣山村聰の下にも幾何学的に赤ちゃんが生まれてくるという、そんな話。48歳の妻轟由紀子の妊娠が発覚するや驚き歓びながらもそれとなく人口流産を勧めたりする厚生大臣の姿はあまり笑えぬが。

ここでは北原三枝が山村聰の秘書をスマートに務め、その息子三橋達也の子を宿して結婚への流れを計画的に実行するクールビューティ。ところが、轟由紀子は家柄が違うと絶対反対。北原三枝の悪魔的な頭脳がここから全面展開して山村一家は全員絡め取られるのです。最後には彼女が明治の実業家五代友厚の縁続きだというおまけに皆大満足。よく分かりません。よく分からないと言えば、途中、内閣改造で山村聰が防衛庁長官になるのだがどんな背景なのかがさっぱりわからなかった。

さて、観ている最中、山田五十鈴の特集だということをすっかり忘れていて、彼女が終盤に差し掛かるころちょいと出てくるところで、何で今頃、と。山村聰が京都の大学生時代に出会い別れた舞妓のその後の役。お願いするのは一生に一遍のつもりどした、と、山村聰の子種で出来た政治家志望の息子の道しるべを願い出たのでした。

神保町シアター 没後10年 女優・山田五十鈴 にて
デニロ

デニロ