MinaMi

風と共に去りぬのMinaMiのレビュー・感想・評価

風と共に去りぬ(1939年製作の映画)
4.0
スカーレット・オハラが嫌いである。わがままで自己中心的で気分屋で、美貌を武器に強かに生きる女。前半ではそういう印象だった。けれども、悪夢のような戦争を経ても生にしがみつく強さと、失敗しても挫けないどこか憎めない性格に段々と愛着が湧いてくるのは不思議なもの。
でも、断然メラニー派である。聖母のような優しさと包容力であらゆる弱い人を助ける生き方は理想そのもの。夫とスカーレットの関係にも本当は気づいていたのだと思う。けれど、誰の悪口も言わず、差別もせず、夫の危機には機転を利かせる賢さもある。天使という形容で語られるのも理解できる。
本作の素晴らしさは、メラニーが主人公ではないところでもあると思う。カトリック信仰が強いはずのアイルランド系のオハラ家にも関わらず天真爛漫で賛否両論がある美女。彼女が片思いの相手を一途に想いながら、第一印象最悪の不良と痴話喧嘩を繰り返す、まさに少女漫画の原型のような作品。『傲慢と偏見』と並ぶくらいの女子映画だと思う。けれども歴史的背景が描かれることで、大河ドラマとしての壮大さもうかがわせる。
南北戦争は所詮は国内の紛争くらいに思っていたけれど、本当に戦争だったのだなと思う。掠奪、殺人、放火、人が人を殺しあうのが当たり前になる恐ろしさ。
そんな不幸にまみれても、どんな悲しい風が吹いても、愛するタラの地に根を下ろし生き続ける、古き良き南部娘の美しい物語。
今から80年前とは思えないテクニカラーと音楽とヴィヴィアン・リーの美しさが涙を誘う。

・脚本 8/10
・演技 8/10
・演出 8/10
・音楽 8/10
総合点 31/40
MinaMi

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