HidekiIshimoto

HAZE ヘイズのHidekiIshimotoのレビュー・感想・評価

HAZE ヘイズ(2005年製作の映画)
4.0
たった46分。なのにヘビー級。今度は愛と死のじゃなくて死と愛の煉獄映画。閉所恐怖症の人(監督自身もだと)には煉獄どころかガチ地獄なのでやめた方がいい。狭い隅っこわりと好きな俺にも地獄なんだけど、観終わればやっぱり愛。ラース映画の「生きるのに向いてない」というセリフも思い出した。インタビュー映像なんかではいつも飄々ととぼけた風情の塚本晋也にも、そんな抜き差しならない思いはやっぱりあるんだろう。そんな思いを秘め持ってない人など何処にもいない気もするし、大脳(心)という複雑器官を搭載してしまった人類のそれが宿命だとも思う。その宿命にじっと向き合うのが塚本晋也のような監督で、そんな人の作品に向き合うには同じ構えが必要になる。大島渚が「天才がいるのは限りなく一人で作業できる画家や音楽家だけで、映画監督にはいない。黒澤明も一人で全部できるわけじゃない」と言ってたけど、じゃあ音楽と配給以外全部一人でやってる塚本晋也は天才監督に一番近いのかも。