HidekiIshimotoさんの映画レビュー・感想・評価

HidekiIshimoto

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男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け(1976年製作の映画)

4.0

わりと社会派。けど社会の最小単位は家族なのだからシリーズ全部が実は社会派。全シリーズで⭐️4達成してるのはこれとリリー再登場の前々作だけで、何かの人気投票ではこれが一位だった。俺的一位は前々作。俺的に>>続きを読む

ベスト・オブ・エネミーズ ~価値ある闘い~(2019年製作の映画)

4.0

アメリカの黒人差別問題ほどわかりやすくもねじれた矛盾って他にない気がする。わかりやすくねじれた矛盾ってわかりにくいけど、全ての差別はまあそんなふうにややこしいわな。差別者とは個々それぞれが言うに言えな>>続きを読む

砂漠の流れ者(1970年製作の映画)

4.0

学生時代に観た『ジュリア』のダシール・ハメット役で俺の成りたい理想ジジイ像を教えてくれたジェイソン・ロバーツ。ここでも成りたいきたないおっさん像をビシッと示してくれてる。きれいはきたないきたないはきれ>>続きを読む

戦争のはらわた(1977年製作の映画)

4.5

高名なのにあまり縁がなかったサム・ペキンパー。これもむかーしTVで観ただけで最後のあの笑い声しか覚えてなかったけど、ドイツ兵士側からナチのみならず戦争そのものを、つまり戦争のはらわたを嫌悪してみせるご>>続きを読む

動物界(2023年製作の映画)

4.5

移民問題に揺れ続けてきたフランスらしい寓話映画だった。「新生物」への差別のようなことが実際移民に対してあると推察。俺的に全ての差別は人間以外の生き物への差別がルーツであり、それが人間内にスライドしてし>>続きを読む

トータル・バラライカ・ショー(1994年製作の映画)

3.5

始まってびっくりのアリーナライブでメタリカのモスクワライブくらい盛り上がってるのにまたびっくり。バンド名のおかげかロシアでもこんな人気だったんだぁ、と思ったらロシアの退役軍人楽団の方をヘルシンキに招い>>続きを読む

男はつらいよ 寅次郎相合い傘(1975年製作の映画)

4.5

冒頭の夢シーン、『シンドバッド黄金の航海』で寝るんじゃない寅!と思ったけどさすがシリーズ屈指の回。名高いメロン騒動も格別。全員のテンション上がってる感。それよりテンション上がる結婚話騒動ではリリーがど>>続きを読む

ラヴィ・ド・ボエーム(1992年製作の映画)

4.5

毎回俺の映画愛をばきゅんと撃ち抜くマッティ・ペロンパー。ベレー帽が死ぬほど似合わない画家ペロンパー。とその芸術家仲間達。いいなぁ。けど悲惨だなぁ。けど愛だなぁ。愛が溢れてるなぁ。自由への愛、仲間への愛>>続きを読む

ヒトラーのための虐殺会議(2022年製作の映画)

5.0

『十二人の怒れる男』や『日本のいちばん長い日』みたいな会議映画大好きだし『シンゴジラ』の会議シーンだって好きっちゃ好き。この作品もその意味では好きなんだけど、好きと言っては脳がねじ切れる会議内容。見事>>続きを読む

ハムレット・ゴーズ・ビジネス(1987年製作の映画)

4.0

ドストエフスキーの次はシェイクスピアきた。けどやっぱりちゃんとオフビートなオフハムレットで最高だった。どれくらいオフかというとハムレットの顔がぜんぜんかっこよくない、どころかすごくカピパラに似てる。オ>>続きを読む

SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

4.5

俺史上最愛級のキャリー・マリガン主演なのにワインスタインの人類史上最汚物みたいなあの顔が頭をかすめて今まで観れないでいたけど、めちゃくちゃパワフルな優れた映画だった。『スポットライト』もジャーナリスト>>続きを読む

ドラキュラ/デメテル号最期の航海(2023年製作の映画)

3.5

すごーく楽しみなロバート・エーガスの『ノスフェラトゥ』。の代わりに観てみた。『トロール・ハンター』の監督だったのか。『ジェーン・ドゥの解剖』もなかなかおもろかった。けどドラキュラじゃないとすごい文句言>>続きを読む

男はつらいよ 寅次郎恋やつれ(1974年製作の映画)

4.5

今作は撮り方なのか編集なのか、何がどうとは言えないんだけど、どうも他のとなんだか違う。映ってるものはいつもと同じなのに、全体的にすごくきめが細かいような、あえて恐る恐る言えば小津映画のような厳粛感。主>>続きを読む

男はつらいよ 私の寅さん(1973年製作の映画)

4.0

たとえ叶っても釣り合わないかみ合わない長続きしない、と分かっていても落ちるのが恋だと、けどそんなのも生きている証なのだと今回も学びました。ただ生きてるだけにも証が必要とか人類めんどくせぇなと思わんでも>>続きを読む

嘘をつく男(1968年製作の映画)

4.5

今日は歩き回って疲れたのでわかりやすい単純映画観たろと思ってたのに、何故かロブ=グリエ映画なんか観てた謎の俺だった。けどこの人の謎具合は肌にあうというかすごく好き。オフビートじゃなくてオフメロディ、つ>>続きを読む

カラマリ・ユニオン(1985年製作の映画)

4.5

最近観た映画で一番かっこいい映画だった。最高にかっこいいサングラスの男達。裸眼のしょぼくれ男もメガネのハゲデブもいるけど、それでも全員がかっこいいユニオン。和訳すればイカリング同盟なんだと。色々さっぱ>>続きを読む

罪と罰(1983年製作の映画)

4.0

オフビートというよりワビサビと言いたいカウリスマキの"幻のデビュー"ってことだけど、新作と言われてもわからないかも。カウリスマキ映画のファーストショットは地べた這い回るゴキブリなのだった。ワビサビなの>>続きを読む

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

4.0

キツネ人形映画イヌ人形映画以降、新作でても(なんだ人間か…)と思うようになってしまったウェス・アンダーソン。さらに映画外にまでアンダーソン風味が流行ってからはガクンと観る気が下がった実写のアンダーソン>>続きを読む

スープとイデオロギー(2021年製作の映画)

4.0

そもそも何でわざわざ在日?とそういや思ってたコリアンの大半が移民じゃなくて虐殺から逃げてきた難民なのだった。とこれ観て初めて知った。ぱっと見大阪の元気なおばちゃんの背後には犠牲者数3万人〜8万人と正式>>続きを読む

男はつらいよ 寅次郎夢枕(1972年製作の映画)

4.0

大女優田中絹代との共演がしみじみ沁みた。若い頃から顔も声もおばあちゃんぽい人なので(失礼)こういう役は倍で沁みる。笠智衆や田中絹代みたいな美しい爺ちゃん婆ちゃんはもういないのか。それとも虚構の理想像で>>続きを読む

清作の妻(1965年製作の映画)

4.0

若尾文子がメンヘラ…似合うような似合わんような。繊細なのに男気も色気もある田村高廣は『愛の亡霊』と同じくらいハマってる。これも一種のファムファタールものなのか?って若尾文子なのだからそうなのでしょう。>>続きを読む

裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)

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ジャンヌ役者の顔写真だけで映画史に残ってしまってる感じのこの作品、自分でもちょっと不思議なんだけど初めて観た。配信されてもなかなか手を出せないでいたのはたぶん名前だけで緊張する監督だから。けどwiki>>続きを読む

男はつらいよ 柴又慕情(1972年製作の映画)

4.0

おいちゃんが松村達雄にチェンジしたのはここからだったか。もちろん名優なんだけど突然別人になるとかデビッド・リンチかよだし、『どですかでん』のド畜生印象強いし、はいいとしてそれより吉永小百合。これ観てサ>>続きを読む

果しなき欲望(1958年製作の映画)

3.5

今村昌平で1番という評判をあっちやこっちで見聞きしたのでいそいそ観た。とらやのおばちゃんとらや以外で初めて観た。けど俺的には『人間蒸発』や『にっぽん昆虫記』の方が面白かったかな。ちゃんと面白いんだけど>>続きを読む

真夜中のカーボーイ(1969年製作の映画)

4.5

アメリカンニューシネマといえば最初に思い出すこの映画は俺的哀しい映画第一位。『デッドゾーン』と同じぐらい哀しい。頭から終わりまでひたすら哀れ。テキサスのダッさい田舎もんジョン・ボイドも哀れだけど、この>>続きを読む

市民ケーン(1941年製作の映画)

4.5

観るのたぶん4回目くらい。これの凄さが解りきれなくてまた観てる感じ。俺的には映画史上第1位の映画というより、自分がただの映画ファンだと思い知る映画第1位って感じ。観るたびにプロの監督やスタッフはこのカ>>続きを読む

男はつらいよ 奮闘篇(1971年製作の映画)

4.0

「姫さまならもう助けに行ってる」という『風の谷のナウシカ』の金言思い出したりもする寅さんの行動。たしかに駿作品にもすんなり馴染みそうな寅さんだった。けど「おれといるより津軽に帰った方がハナコは幸せなの>>続きを読む

ペドロ・パラモ(2024年製作の映画)

4.0

傑作ってほどでもないけど、とりあえず南半球映画最高。生と死の境目も曖昧な量子的マジックリアリズムたまらん。自分もとっくに死んでて映画観てる地縛霊の気分で観てた。南の人々の風貌も言葉の響きも、家も街も自>>続きを読む

男はつらいよ 純情篇(1971年製作の映画)

4.0

今日はバタバタでぐったり疲れた。でまた始まってしまった寅さん祭り。渥美清の評伝本までポチってしまった。最初のエピソードで宮本信子に寅さんが言う「俺はその男を殺すよ」というセリフ。これほど滋味深く胸にく>>続きを読む

男はつらいよ 寅次郎恋歌(1971年製作の映画)

4.0

プロジェクターをフルHDとやらに、80いんちすくりーんを100いんちに格上げして以来、酒屋に入るアル中の気分で毎日帰宅。ツタヤ奥のノレンを分け入った猿男子の気分で今日は何観よう❤︎と色々観てたのだけど>>続きを読む

男はつらいよ 望郷篇(1970年製作の映画)

4.0

また寅さんに戻ってきてしまった。ということはたぶん俺この世に疲れてる。まあ財務省界隈以外で疲れてない者がいるのかどうかだけど、久しぶりに寅さんの顔見るだけでじわっと涙目。からの失笑。からの爆笑。やけに>>続きを読む

The Public Image Is Rotten ザ・パブリック・イメージ・イズ・ロットン(2017年製作の映画)

3.5

今でも1番クールなロックPVはプリティヴェイカントかなと思う。あのイントロとシドの死んだ目とジョニーの黒メガネ。キースがいた頃のPILのライブ映像もクールの最終進化形に脳天痺れたし、レッチリのフリーも>>続きを読む

創造物(1966年製作の映画)

3.5

ぬーゔぇるゔぁーぐのお婆ちゃんあにえす・ゔぁるだが撮ったこれはSFなのか…でアと思って調べたらこれと同年にトリュフォーは『華氏451』撮って、前年にゴダールは『アルファヴィル』撮ってた。つまりこの頃の>>続きを読む

悪魔のようなあなた(1967年製作の映画)

4.0

最高にいかしたタイトルに反してなんか子供のようなドロン。けどスーツが最強に似合うドロン。原題翻訳してみたら「悪魔のようにあなたを」。悪魔のようなのは誰やねん?なミステリー。けどやっぱ時々眼が怖いドロン>>続きを読む

赤い影(1973年製作の映画)

4.0

wikiに「映画に出てくる名セックスシーンベスト10で1位に選ばれた」と書いてあるこれ、ビビりつつまた観た。けどあの赤ずきん婆ももう怖くなかったし、『ニンフォマニアック』がボカシもなく配信のこの時代に>>続きを読む

レイジング・ブル(1980年製作の映画)

5.0

ボクシング映画のゴッドファーザー。ちゃんとマフィア出てくるボクシング映画。デニーロとペシなんだからまあマフィア映画。何度も観てるのについまた観たらほんとにまあなんて映画だろ。野卑にしてゴージャス、粗暴>>続きを読む