タラコフスキー

警察官のタラコフスキーのレビュー・感想・評価

警察官(1933年製作の映画)
4.5
超絶傑作。
警察官の社会的意義を伝える国策映画のはずが、警察官とその旧友であり犯人でもある男とのブロマンス映画となっており、限りなく同性愛に近い何かが描かれている。
親友の指紋と犯人が現場に残した指紋が一致した時、自らの職業である「警察官」の三文字が、冒頭のクレジット同様画面奥から手前に立ち上がってくる字幕として何度も繰り返し挿入された後、検挙へと至る警察内部の決定過程、そして大量のバイク警官が雨に濡れた道路を滑走する移動ショットの合間に、國民を守る警察官という職業の崇高さ、共産主義の弾圧がいかに社会の安寧に寄与するかを並べ立てた長大な字幕が挿入される。このつまらないはずのプロパガンダ長文によって、警察官とその親友との関係が社会秩序に大きく関わることが明示され、歴とした「セカイ系」として物語が開示される。
検閲に不意撃ちを喰らわすとはこのことである。
タラコフスキー

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