ポンコツ娘萌え萌え同盟

警察官のポンコツ娘萌え萌え同盟のレビュー・感想・評価

警察官(1933年製作の映画)
4.1
間違えなく日本ノワール映画の良作。
警察精神以前に伊丹自身も一人の人間だし、本作に伸し掛かる内容は並大抵の覚悟では務まらないし、人一人に求める決断にしては重すぎる。しかし伊丹が覚悟し決断しなければ解決不可能な事件だし、サイレント映画の中間字幕に対してのこんなにも重苦しさを感じたのは初めてだったよ。

そもそも映像は元から二人を対立させてこうなるのが運命のように描いてたじゃないか。
警察になった姿の伊丹と、車でチェックされてた哲夫の再会。はっきり別々になった二人の分かれ道。寝転びながらタバコを吹いてるのに現在が逆向きの二人に対して、過去のエピソードでは並んでいた二人。二人の青春はとうに過ぎて別々の道に進んでいる。
それでも二人のやり取りや学友時代の回想みて本当に好い親友同士だったんだなぁと…。
ノワール映画を観ているのに、本作の二人の関係の皮肉と物語の運命動き出すのが訪れることに何処か恐ろしさを感じて、ノワールやサスペンス映画で胸が締め付けられそうな感覚を覚えたの初めてかもしれない。
運命の皮肉の苦さを伊丹の表情を3カメで捉えた先で彼の"警察官"としての決断に非常に揺さぶられた。

脚本が個人的に非常に好みだが、それ以上に凄まじほどに強調された照明演出に心打たれてしまった。まさにジャパン・フィルム
・ノワール。夜の場面の照明が上手いのもちろん、ノワールらしい照明の光と闇の濃さから、表情につけた陰影まで白黒映画としての照明の表現が非常に冴えてる。特に警察対犯罪者の画もカメラも照明も激しさも増して魂が擦り切れそうなほどの緊迫感が凄まじい。
観て良かったです(内田吐夢作品もっと見ないとなぁ…)