似太郎

男はつらいよ 柴又慕情の似太郎のレビュー・感想・評価

男はつらいよ 柴又慕情(1972年製作の映画)
4.4
なぜか『男はつらいよ』シリーズではこの『柴又慕情』を最初に観た私。たぶん吉永小百合がマドンナ役で出ていたからだろうか? 父親から薦められて観た。

北陸の風景がとても綺麗に撮られてある。展開が毎回、ルーティンというかマンネリズムの極致みたいな『男はつらいよ』シリーズなのだが、やはりこういった昭和の日本の原風景が現在に失われたのを考えると感慨深いものがある。

山田洋次はたまにつまらない映画も撮るがこのシリーズは未だに好きで、なんと言っても愛らしい醜男の渥美清の存在感に尽きる。展開的にはパッとしなくとも松竹大船調の伝統が活かされたセットや撮影など、山田の手腕が光る好編。

私が個人的に尊敬する宮口精二と笠智衆が脇を固めていて、役者のアンサンブルに尽きる映画。このような超マンネリズムが一種の中毒性みたいになってくる辺りが山田マジックとも言える。

今で言うジブリとか『鬼滅の刃』シリーズ並の国民映画っていう気もしないのは、山田洋次の作風が古臭過ぎて若年層が観ないから。もしくは需要が無いから。そういう意味で残念。
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