MASAYA

うなぎのMASAYAのレビュー・感想・評価

うなぎ(1997年製作の映画)
4.0
鰻には個人的に特別な思いがあります。ただ単に好きな食べ物ということもありますが、中学生の時に3日間の職場体験で、渋谷にある「吉野」という鰻屋に行かせてもらいました。
接客だけでなく、実際に鰻を捌いたり、焼いたりと貴重な体験になりました。

さて本作ですが、ほのぼのとしたタイトルとは裏腹に、浮気した妻に腹を立てた夫、山下拓郎(役所広司)が妻を包丁でめった刺しにするという衝撃的な幕開けをします。

その男が服役中にひょんなことから刑務所でうなぎを飼い始め、仮釈放時に看守から渡されます。
人間不信に陥った山下拓郎は、唯一の話相手となった鰻とともに、理髪師として人生の再スタートを切ります。

非常に味わい深い作品でした。
刑務所の歩き方の癖が抜けなかったり、鰻のために小エビを取りに行ったり、細かいところでの演出が上手かったと思います。
また、仮釈放してから人になかなか心を開かない主人公が1歩ずつ人と関わりあっていくというのが魅力的でした。

山下拓郎という男の考え方に賛同できない人もいるかもしれませんが、自分は何となく分かる気がしますし、何とも憎めないキャラクターなのでいつの間にか応援したくなってしまいました。

日頃洋画の割合が高いですが、邦画も良いなあと思えた1作です。
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