うなぎの作品情報・感想・評価

「うなぎ」に投稿された感想・評価

言語化し得ない傷を前にして、それといかに向き合うのか。
飄々とした展開ながら、あるべきものがあり、跳躍もある。狂気や恐怖といった手に負えないものが、幻想的かつこじんまりと描かれ、フィクションに求められる非現実と現実のアンビバレントな縺れ合いをうまく乗り切っている。
この作品を傑作たらしめているのは、うなぎという形象が根底にたゆっているからだろうか。じっくりと展開する前半と、うなぎやウシガエル、UFOといった絶妙なメタファーが絡むことで、作品のファンダメンタルが形成されている。基盤がしっかりしているから、派手なことがあっても飛んでいかない。
自分の趣味に近いということだろう。面白かった。
「過去を償う」ということは、過去と向き合うことだけを意味するのか。未来へと進むことも償う道として許されるべきではないか。
高崎は悪役のようにも見えるけど、実は主人公のシャドーであり、たまたま両者の環境が少し違っただけで、存在自体は表裏一体であると思う。
東京国際映画祭にて、役所広司のQ&A付き鑑賞。
役所さんに会う機会なんてそうそう無いものだから、一体どんなお人だろうと思っていたが、ユーモアを備えた紳士という言葉が相応しい丁寧なお方で、鑑賞前に謎の感動。

妻を寝取られて逆上した男(役所広司)が服役を経て仮釈放される。
この仮釈放期間がメインのお話。

「服役していた人あるある」とでも称すべきか、刑務所での習慣が日常に持ち込まれたり、社会復帰した時の扱いが人それぞれに違ったり、なんだか勉強になる部分も多い。

エンドロールのシーンはずっと何を表しているのかわからず、他の方のレビューを拝見したところ、ハッとした。救われた。

非常に暗い。が、ふと射した一筋の光に手を伸ばしてみてもいいんじゃないかと思わせてくれる。いわば夜明けのような作品。
僕はこの映画を、某無料動画配信サイトで見ました。真っ暗な自分の部屋でPCで一人で観るのに、ここまでピッタリな映画はないと思います。個人的には柄本明と哀川翔はこの映画がベストアクトです。
映画館で観た時は幼かったし、興奮した記憶しかなかったが

見直したら普通に面白かった
はち

はちの感想・評価

4.0
おかしな大人がいっぱい。
とりあえず開始10分で
妻に浮気されてぶっ殺すシーンが爽快で
鼻歌歌いながら自首するところですでに笑った。
映画は出所してからを描いているんだけど、
この緊張感の中にあるユーモアのセンスがとにかく独特で、
何度も笑った。

市原悦子のオ、レ!がめちゃくちゃ面白くて、ハッとするシーンもあり、
でもどこか切なくなれる
そんな空気感が素晴らしかった。

全く話には関係なくUFOを絡めてきていたのもすっごく良くて、
今年も終わろうとしている今うなぎに出会えたことに感謝。
主人公の自己投影の対象にうなぎを持ってくるところがまず良いんだよな。これなんかいいなってシーンやセリフが沢山あって、そういうのが全体的な評価の底上げになってる感じ
彩永海

彩永海の感想・評価

3.5
●美容室の感じがすき
●脚本がよくできてると思う
●うなぎや水槽が名演
●癖強いわりに見やすい
●若い役所の獣感とさわやかさを両方楽しめる
ドロドロした話だし、ハッピーエンドではないのかもしれないが一抹の奇妙さと、清々しい余韻の残る映画。かなり好み。

『万引き家族』から『寝ても覚めても』の流れでカンヌっていいなと思って調べたら出てきた映画。邦画でパルムドール受賞はこれ合わせて歴代5本あるらしい。意外と多い。

妻の不倫現場を目撃し逆上。妻を刺殺してしまった山下(役所広司)は仮出所すると千葉の漁師町で理髪店をやりながら人と関わらないように生きていくー。

何も話さないうなぎに自己投影しているのだろうか。自分と外の世界をシャットアウトして、自分自身とだけ向き合うような生活。
なんでも「前向きに、積極的に、負けないで」と煽り立てる現代社会において、立ち止まって自分の中に籠もることを肯定してくれる映画だと思う。そして、いつかはちょっとしたきっかけでまた人と関わっていくことができることを示唆する救いもある。

自転車二人乗りの映画にはずれなし、の法則に当てはまりました。

(あと、千葉の漁師町の雰囲気大好き)
[人生の再生の可能性]

 柄本明の高崎保のからみが何となく余計に思えたり、役所広司の山下拓郎が夢でのうなされも手紙のエピソードも何か稚拙だったりと、ゴタゴタはしている印象だが、なかなか良かった。

 山下が“物言わぬうなぎ”に話し掛けて交流していたから、自分が崩壊せずにいられたのが最も筋が通っていたと思う。

 役所広司と清水美沙の服部桂子の間も一筋縄で行かないし、桂子の過去も現在もいろいろあり過ぎるし、市原悦子の母のエピソードも食傷気味ではあった。しかし、基本的には、人生でいろいろあっても、再生の可能性がある、傷つきは回復できると、とうたうのに希望を感じられた。

 今村昌平らしい、おおらかさとセックスの良さと人生への賛歌だろう。(2018.11.10)
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