みおこし

うなぎのみおこしのレビュー・感想・評価

うなぎ(1997年製作の映画)
3.3
カンヌ国際映画祭パルム・ドールを『万引き家族』の前に獲得した邦画ということで勉強のために鑑賞。

不倫の事実を知って妻を殺害してしまった山下は、刑務所を出所するもまだ人間不信に陥り、飼っている鰻にだけ心を開くようになっていた。ある日、住み始めた島の中で若い女性が瀕死の状態で倒れているのを見つけ...。

いきなり強烈な妻殺しのシーンから始まったので度肝を抜かれてしまいました(笑)。人はカッとなるとあんなことしてしまうんですね...。つくづく恐怖です。
しかし、そんな激しいオープニングとは対照的に、山下の出所後は淡々と彼の島での生活が綴られていきます。
清水美砂さん扮する桂子との出会いを通し、人間らしい感情を少しずつ取り戻していく山下。どこか彼と桂子のやりとりが滑稽で面白かったです。緩急を特に感じる作品で、ショッキングなシーンとのどかなシーンとの対比構造が印象的でした。
先日亡くなられた市原悦子さんも重要な役で出演、本作で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を獲得されたのだとか。

役所広司さんは毎回映画で見せる顔が異なる素晴らしい役者さんですが、本作では冒頭目が死んでいるのに、少しずつ現地の人との交流を経て生気が戻っていく様子が分かって今回も圧巻の演技でした。
他にも島内でも曲者の役を柄本明さんが怪演しているのも見応えたっぷりです...!!

少しロマンス要素もありつつ、決して直接的ではない心情描写が邦画らしいいじらしさがあって、ほっこりしました。
それにしてもパルム・ドール獲得だなんて改めてすごいことだなぁ...。
みおこし

みおこし