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薔薇の葬列のRYOのレビュー・感想・評価

薔薇の葬列(1969年製作の映画)
4.5
1960年代末期の新宿、六本木、原宿が舞台のアンダーグラウンドな若者文化が背景として、取り上げられていてとても興味深かったです。

現代では、LGBTなどといった取り組みがあり、大分受け入れやすい世の中にはなったけれども、それよりも遥か前に、トランスジェンダーというセンシティブな題材を1つの映画として残したのは凄いと思う。

今まで見てきた映画の中で一番実験的だったかもしれない。

ゲイボーイをコミカルにうつすシーンや、途中に挟む潜在的な性描写だったり、ドキュメンタリー形式の時もあった。

中でも一番忘れられないのが、セクシャルアートの部分なのですが、時代を先取しすぎていると思うし、当時の生きづらさを表しているようで、他人事だとは思えません。

そして、彼女たちの持つ宿命という生命そのもののアートをもっと多くの人たちに知って欲しい!

余談ですが、本作の現実と虚構の入り混じった表現は、後にスタンリー・キューブリックに影響を与えたといわれていて、早回しのセックスシーンやサイケデリックアートは、この作品から来ているんじゃないかと長く議論されているそうです。
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