和泉屋

マイ・マザーの和泉屋のレビュー・感想・評価

マイ・マザー(2009年製作の映画)
4.6
“今日僕が死んだら?”



ーーー“明日私も死ぬわ。”

全然予想できなかった答え。
でも届かない、届けようとしていない。

愛してる、
今まで見たどの映画よりも、現実味があって、日常的な、綺麗過ぎない、手に取るようにわかる“愛してる”がたくさん。

母親の息子への無償の愛、とかいう綺麗で感涙必至みたいな映画も、もちろん大好き。
だけど実際やっぱりそんな綺麗なものじゃないし、悲劇的な境遇に見舞われて生死を彷徨う中…とかそうそうないし。w
自分の知ってる愛はそうじゃない。

たくさん感じることがあり過ぎてパンクしてしまったりもしたけれども。
大人は甘やかされて育てられた、人と違う自分を持て余して、認めもせず否定もせず“変わってるのね”で片付ける、ってところ。
でもそこに噛み付くとまた“変な子”“面白い子”。馬鹿にされてるように感じる気持ち、痛いほどわかる。
それで自分を隠す、殺すようになる。

学費とか送迎とか、してもらってるのはわかってるけど、してあげてる、気にいらないなら自分でやりなさい、ってやられると、未成年だしそれはしょうがなくね?そっちが産んだんでしょ?とか言っちゃいけない、間違ってる、ってわかってるけど思ってしまったりする。
自分の無力感にも親の態度にも苛立って、でもそのあとちょっぴり寂しいような気持ちがするの、ハイになって母親に話しに行ったところと重なった。

主人公と同い年だからか、やはり母親からの視点では見れなかった、ずっと息子に感情移入してしまい。
親になったら違うのかな。

“僕は母を殺した”がわからなかった。
この映画の一番大事なところだったのかなぁ、だとしたらすっごい馬鹿だな自分wでもそれまでの一つ一つのシーンにたくさんたくさん思うことがあって、なんていうか、もう満足。w

同性愛の激し目な描写がなんとなく生理的に苦手だからちょっとキツいシーンはあったけど、見る価値は絶対にあった。

小物が次々に写し出される個性的なカットが印象的。こういう芸術、ちょっと真面目に勉強してみたいな。
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