感情を常に剥き出しにする人物たちと、多くの人が共感するであろう十代ならではの母親への愛憎という普遍性とのバランスが良い。ただ、物語の行き着く先が主人公の成長ではなくて、子供時代への回帰というラストはこの監督ならではなのかも。過去への憧憬だけではない、それまでのリアルな2人のシーンとは全く別の幻想的な空間への移動がある素晴らしい終わりであることは言うまでもないのですが。
スローモーションを使ったシーンは本当に見事。映像から得られる充足感で溢れている。単なるナルシズムではなく、少年の内省的な思いが表れているからこそ。激しい感情表現に納得がいけば、このシーンにもさらなる感動が得られるのだろうなぁ。
ドラン作品は感情の爆発が多すぎて自分には合わないことをこの作品で再確認しようとしたけれど、こんなにも面白いのだからまた次の作品を楽しみにするしかなさそうです。
