つばさ

マイ・マザーのつばさのレビュー・感想・評価

マイ・マザー(2009年製作の映画)
3.2
グザヴィエドランのデビュー作。

今回これが初見なんだけど、私はロランスやマミーを先に観てしまってるから未熟だなと思ってしまう点がいっぱいだった。当時20歳の彼にこれ以上を求めるのが間違ってるのはわかってるけど!笑

ドランの作品がとても好きな理由の一つに、登場人物の一つ一つの表情やセリフを丁寧に描いて彼らの内面をしっかり映し出している点がある。
これのおかげで自分でも気づかないうちにすっと感情移入しているし、まるで自分がその登場人物になってしまったんじゃないかと思ってしまうほどこちらの気持ちも揺り動かされる。

だけどこの作品では息子にも母親にも感情移入することができなかった。
その他の音楽や演出、カメラワーク等は私の大好きなドランの世界観でいっぱいだっただけに、なんだか物足りなさを感じてしまう…。

私にも16歳の頃があって親がうっとうしいと思う気持ちが理解できるはずなんだけどなんでなんだろう…。
自分が成長して、結婚出産がぼんやり人生の視野に入ってきて、子供の目線で物事を考えることが少なくなってきたからかなー。
かといって子供がいない私には母親の気持ちなんてもっと理解できない。

将来自分が子供を持った時にまた見直したらもっとこの作品を深く楽しめるときが来るのかもしれないけれど、少なくとも今は、楽しみきれない作品だったなと思った。

あと、もう一つのテーマであろう同性愛についての問題とこの親子関係の問題を今のドランならもっと上手くまとめて、両方の問題を昇華してるだろうなと思う。今作では二つの問題がバラバラのベクトルを向いてた感が否めなくて、そのへんもモヤモヤしてしまった。
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