トシ

裏窓のトシのレビュー・感想・評価

裏窓(1954年製作の映画)
3.9
🎬裏窓🎬

DVDにて鑑賞

公開日1955,01,29

監督#アルフレッドヒッチコック *
出演#ジェームズスチュアート
#グレイスケリー #セルマリッター *
【ストーリー】
自由気ままな生活を送っていたカメラマンがケガをし、車いすの生活を強いられる。
部屋から一歩も出られず暇を持て余した彼は、隣人の生活をのぞき見る楽しさを覚える。
ある日ケンカの絶えない夫婦の妻がこつ然と姿を消す。
夫の行動に不審を抱いた彼は警察に相談するが。。

【セット・街】
まず驚かされるのが間違いなくセットでしょう。
中庭があるアパートが舞台であるがこれらは全てセット。

撮影スタジオ内に建てられたものであり、そのアパートの奥の店、通行人、車も映り込み、そこは立派な街になっている事が凄い。

物語全てがここで展開される為、力の入れようが違うのでしょう!
サスペンスの巨匠と言われてますが、セットにも抜かりないところは素敵ですね😎

【主人公・部屋】
前に述べた様にアパートが舞台であるが、その中にある主人公の一室から展開されていく。

長いことこの部屋での長回しややりとりを見ていると、映画を観ているものもこの主人公の部屋に安心感を覚え、主人公に感情移入しやすくなっていると思う。

足を負傷して動けない境遇にある主人公にとって「窓」は唯一の情報源であり、社会との接点。
そこから見える風景は、世界のすべてなのであることの表現は見事。

【カメラワーク】
双眼鏡を使い覗く所の切り替わりや、引きの画が多いがそれが主人公の目線と重なり、シーンを撮る動きと違う、生きた動きを見せる事があるのでそのメリハリは面白い。
急なアップとかもそうですしね!

基本長回しなのでリアルなドラマ運びになるし、臨場感もすごく伝わる。

【演出】
前に鑑賞した(めまい)もそうだがやはりヒッチコック作品はBGMが極端に少なく、カメラの長回しが特徴的である。

でも少ないながら今作はBGMの入れ方が上手い!
同じアパートでピアノを演奏している人がいる。その人が引いた曲がそのままBGMに繋がる流れは素晴らしいし、そのシーンにあったメロディを奏でるから良い👏

アパートの住人は常に肌色のインカムをして、ヒッチコック監督の指示を仰いでいるから凄い!
あちらのセリフがしっかり聞こえないのに動作や微かに見える表情で向こう側を伝えるのは凄すぎる😅

【メッセージ】
子犬を殺された中年夫婦が住民たちに対して『なぜ私たちは隣人同士なのに互いに無関心でいられるの?』と涙ながらに訴える場面は印象的。

物語の雰囲気を考えたら若干違和感がある様に見えなくもないが、それよりも本作では男女間の愛のみならず、社会や隣人同士の愛といったテーマをも投げかけている。
大袈裟かもしれないが世界の縮図の様にも感じた。

【まとめ】
やっぱり面白いヒッチコック作品。
ものすごく日常的なのに、サスペンス要素が強い非現実感を醸し出す映像美。

世界をこれほどコンパクトにまとめあげた作品は他にないと思う😎
トシ

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