あべきょ

裏窓のあべきょのレビュー・感想・評価

裏窓(1954年製作の映画)
3.7
最後のシーンで結局どういうこと??となってしまったけど、名作と言われる所以は理解出来たような気がする。

一時的に脚が不自由な男が、裏窓から近隣住民の日常を覗き見ることで展開するストーリー。一応サスペンスではあるのだが、笑わせてくるようなセリフも多くコメディ調なので、緊迫感はあまりない。(BGMやカメラワークによる演出も少なめ)

よく考察で語られているポイントとして、
主人公が近隣住民たちを覗き見るという構造が、まさに映画を観るということのメタファーであるということ。
断片的な情報から全体像をあれこれ推測したり、批評をしたり、見る/見られるの関係がはっきりと存在するが、この『裏窓』のように、映画は鑑賞者に(プラスでもマイナスでも)襲いかかり、実生活にも影響を及ぼしうるものだというメッセージを読み解くこともできる。
この点を非常に上手く描いた設定、演出こそ、この作品の名作たる所以だと感じた。

もちろん、箱庭感のある撮影セットも逆に最近の映画にはないワクワク感が感じられて楽しかったし、ヒロインであるグレース・ケリーの美しさもこの作品の魅力としてメモしておきたい。
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