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海峡のぉゅのレビュー・感想・評価

海峡(1982年製作の映画)
3.3
2022年 鑑賞 22-74-08
BS日テレ 3月は!高倉健名作選 にて
岩川隆先生の小説を原作に、「日本沈没」「八甲田山」「動乱」等の森谷司郎監督の東宝創立50周年記念作品。青函連絡船洞爺丸事故から約30年にわたり青函トンネルの工事に執念を燃やす国鉄技師の阿久津剛(高倉健さん)らを描いたドラマ作品。

ー 作品も青函トンネルもトンネルの工事期間も全部... ー
雪景色や自然が美しい!やっぱりカメラマンは、木村大作氏!特に冬の景色、雪を撮らせたら右に出る人もいないし、この人以上のカメラマンを観ることはないだろうと思う!

雪や北国といえば、高倉健さん!「網走番外地」「八甲田山」「幸福の黄色いハンカチ」「駅 STATION」「南極物語」「鉄道員 ぽっぽや」等...
トンネルさんこと阿久津が青函トンネルに情熱を捧げる納得感が、彼から感じ取れる。多恵(吉永小百合さん)らの顔見せや、どういう人かを見せ、旧JRこと国鉄(母はたまにJRを国鉄と言う)からの転勤の御達しのため一旦は龍飛崎を去ることに...

高倉健さんのタッグといえば... やっぱり大滝秀治さん!とてもしっくりくるし、気持ちが落ち着く。健さんに大滝さん、笠智衆さん、小林稔侍さんの声に、電車の音を聞くと、どうしても山田洋次監督を思い出してしまうのは、なぜでしょう?

“自然に対して戦いを挑み それをねじ伏せる そういった思い上がりはやめてもらいたい”
なんかゆったりと進んでいるように感じる作品。丁寧な人間ドラマというのもあるが、私はトンネル掘りますよ焦らし作品にも感じた。

成瀬(三浦友和さん)の(やっと)登場と、(やっと)工事のシーン登場。水との戦い... トンネル屋の源助(森繁久彌さん)の「(自然に打ち勝とうと)思い上がるな!言うたんは誰やー?」の阿久津への叱咤が良かった!そして、青函トンネルの工事も本格化し...

個人的に、メインヒロインに吉永小百合さんに据えているため、まぁ仕方がないが登場する恋愛パート。阿久津の妻が多恵に嫉妬するシーンや、成瀬の告白、のシーンなど、このシーンとかギュッとできたらなと思う...

ねぶた祭りとトンネルの●●のシーンの交互は、対比が抜群に思えた!ねぶた祭りが活気溢れる生なら、トンネルは死が迫る生を描いている。本当に一寸先は闇だ!小さなミスが大きな事故へ発達し、自然の力の雄大だが恐怖をも感じる。

青函トンネル開通!あっさり感を感じるのは私だけ?高倉健さんファンの方々には申し訳ないが、墓標に手を合わせ、酒を祀るシーンも胸熱シーンだと思うが、冷静に考えて作品上で亡くなった方を描いたシーンはあそことあそこだけだったが、もっと亡くなった人いるでしょ?事故だけでなく、体に負担かかるし、毎日水浴びているしで体悪くする人も多かったでしょう。そこもしっかり解釈させるシーンなり、ナレーションやテロップ入れて描くべきこその作品じゃないかな... あれじゃあんまりにもじゃない?いくら開通前やノンフィクションものでないにしろ、そこを軽く見て欲しくないかな... 現実よりの作品なんだからさ!あと、阿久津の妻のシーン挟まなくてもいいんじゃない?だいたいあの妻あざと過ぎるね!よろっと転んだ(ふり)のシーンとか... すいません、取り乱しました。
青函トンネル工事に関わって方々、御遺族様に御冥福をお祈りします。

“25年 いつの間にか 25年”
終盤での居酒屋のシーン。11年振りのお酒、熱燗、お魚がない、じゃっぱ汁、横並び、無言。このシーンは時に胸熱、感情が揺さぶられる。

余談:青函の海峡が長いとか、そういう情報が出てきたシーンは、説明台詞にしか感じなかった。もっとそれが納得出来るのは、作中の演出で納得させていただきたかったかな?あれじゃ唐突の唐突。工事した人間じゃない人に語られてもねぇ...

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