からげんき

アリスのからげんきのレビュー・感想・評価

アリス(1988年製作の映画)
4.7
好きな人にはぶっ刺さると思う

アマプラに来てたのは知ってたけど
やっと見れた。
風邪で体調悪いときにこれを見たのは大正解でしたね。
体調悪いときにこういう系統の映画みると臨場感が違う。

内容はドストライク過ぎて衝撃だった。
話自体はわりと意味不明なんだけど
絵から来るパワーは凄まじいものがあります。

ストップモーション特有の「今そこに存在している」世界を感じさせる表現が奇妙さに説得力を与えていて、まさに悪夢のような世界。
個人的にアリス映画の最高峰

映画を旅に例えるならこの映画は夢の中を旅する映画でして
これほど文字通りの夢のような映画はそうそうない。
脈絡のない夢を見ているかのような
無意味な想像の中を漂うような
いつまでも浸っていたくなる中毒性がある。
 

この映画のストップモーションのキャラクターはかなり出来がいいです。
見た目がいい感じに不気味なのが最高。

詰め物のスープをムシャムシャ食べるウサギ
魚や鳥の骨に目玉がついた奇妙な生き物
同じことをループする時計屋とウサギ
靴下のイモムシが床に穴をあけてゾロゾロと這い回る

主人公一人称視点で台詞も全て唇のカットと共に主人公が代弁するのでこの映画の登場人物に魂や感情は感じさせない

それなのにストップモーションの出来がいいからそこに何らかの意思のようなものを感じさせて結果として歪で陰鬱な悪夢が形成させるのです。

まぁ雰囲気だけならホラー映画ばりに怖い映画ですが、そもそもファンタジーって怖いものでしょっていう。
昔話も御伽話も少し怖い要素があってそこに惹かれるわけで

ただ幸せなだけではない
ただ楽しいだけではい
シュールでアングラな色調で
夢を魅せてくれる最高の映画です。

映画を面白いかつまらないかって尺度しか持ってない人には勧めにくい作品ですが
刺さる人には間違いなく刺さる一作です。
からげんき

からげんき