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名探偵登場のzkのレビュー・感想・評価

名探偵登場(1976年製作の映画)
3.2
76年制作のメタ探偵もの映画。当時はこのかくし芸大会みたいなおふざけでミステリ小説、映画、ドラマをおちょくるのが新鮮だったのだろう。
今現在このスタイルで、もし作品を発表するならミステリとして強度がある仕掛け、トリックが要求されると思う。本作はその点ではミステリとして成立していない。

この時代は我が国でも怪盗20面相だのルパン三世だの登場人物全員を欺く変装というものが装置として許容されており、探偵に挑戦する者が変装を嗜むのは当然という空気もあったと思う。
奇想天外なギミックに対しても、金と手間を掛けてそういう建物をわざわざ用意するのは何故かという部分にリアリティを求める空気もなかったのだろう。

ゆるい時代の陳腐化したミステリを更に陳腐化させるパロディ。
それが本作であり個人的にミス・マープルがどうとかポアロが〜とかコロンボが〜などと取り立てて思うところも感じ入る事もなかった。

本作はいみじくもこの時代のミステリというジャンルの停滞期を象徴しているのかな、などと思ってしまった。
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