ねぎ

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャンのねぎのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

とても良い映画だった。名作だった。ラストは少し泣けてしまった。

前半は『グランドイリュージョン』みたいな鮮やかな手口を見るという感じで、軽快な展開でも正直退屈だったが、後半にかけての心理描写がとてもいい。

コントラストの強い、画作りもとても印象的。ライティングが全編通して素晴らしく気を使われていて、本当に美しい。

特に面白いなと思ったのが父の友人と母が部屋から出てきたあと、主人公と話すシーン。
父の友人の顔は光が当たっているが、主人公の顔は暗く表情が読めない。そして母親には不自然なくらい強く青い光が当たってる。
男女の猥褻映画を「blue firm」って言うけど、もしかしてそれを意図してるのかな?
ライティング全てに意味がありそうな気がする。

主人公が離婚してからも父に会うたびに「ママと話した?電話しなよ」と話し、
フィクションで医師や弁護士の所作を学び、実践して場の空気が変になるシーンはゾッとした。笑うところかもしれないけど。
(「どうやって司法試験に合格した?」の答えのギャップのためだとしても)

主人公がいかに天才で人を信頼させるのに長けていても、彼に現実をどう生きるかを教えてくれる人がいなかった。イブに話す人も。父と母にすら電話してる描写がない。

セリフの妙も素敵だ。特にカールのセリフは、直接「あいつはこうこうこうだから」みたいなことを言っていなくても、主人公を理解しているのが驚くほど伝わってくる。
「嘘の方が居心地がいいだろう」「見てみろ、誰も追ってこない」はとてもいいセリフだ。

クリスマスイブにまた観たいな。
ねぎ

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