オーウェン

セブン・イヤーズ・イン・チベットのオーウェンのレビュー・感想・評価

2.0
この映画「セブン・イヤーズ・イン・チベット」で、ブラッド・ピット扮するハインリヒ・ハラーは、実在のオーストリア人の登山家。若き日のダライ・ラマの家庭教師を務めた人物だ。

このハラーは、ヒマラヤ山脈の未踏峰ナンガパルバットを目指すが、登頂に失敗します。
そして、この遠征を通じて、自分の栄光にしか興味のない、利己的なハラーの性格が明らかになっていきます。

問題は、ハラーが14歳のダライ・ラマと出会うまでの前半の80分、その悪党ぶりを延々と描いていることだ。
映像は抜群に素晴らしいが、物語の内容はつまらない。
この前半部分は、丸ごと余分だった気がする。

そして、この映画に生気が出てくるのは、ダライ・ラマが登場してからだ。
しかし、ハラーのまだ見ぬ息子とダライ・ラマをだぶらせる設定はあまりにも安易だし、ブラッド・ピットの演技も説得力がない。

チベット仏教の入門編としても、出来がいいとは言えないと思う。
チベット人は殺生を嫌う善人で、その伝統が殺生をいとわない悪者の手で抹殺されかけている----、そんな欧米人の皮相な見方が丸出しになっている。

この映画の失敗は、俳優が前面に出てしまったことだ。
本物のハインリヒ・ハラーの姿はスクリーンに現われず、登場するのはプラッド・ピットだけ。
彼のファンは大喜びだろうが、映画として観た場合、それは致命的だ。
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