チッコーネ

パラダイムのチッコーネのレビュー・感想・評価

パラダイム(1987年製作の映画)
3.0
このテのホラーは、前半で好き嫌いが決まる。
本作は導入+タイトルロールに10分近くを進呈。
物語が開始されてからは、オカルトに現代科学や思想、言語学などアカデミックなスパイスを振りかけることで、独特の雰囲気を醸成している。
「数百年前に建てられた地下の秘密教会へ、相容れぬコンピュータシステムが搬入され、一時ラボが開設される…、そのメンバーとして各分野の専門知識を有す精鋭が集結する」という展開に、ワクワクさせられた。

現代的な、しかし寂れた街並みに忽然と建つ教会というロケーションを、カメラは味わい深く捉える。
また複数のキャラクターを用い、階段の昇降や廊下の行き来を繰り返し反復させることで、内部の空間構成を観衆に無理なく伝える手腕は見事。

後半はクライマックスへ向け、よくあるゾンビ映画のような展開へシフト。
特殊メイクはウエット&メッシーなテクスチュアに特徴ありだが「ここまで醜くする必要、あるのかしら」と思わないでもなかった…、昆虫を使う演出も多い。
アジア人俳優も活躍する群像劇だが、ヒロインの意味深な台詞の真意は、ついに伏せられたまま。
また下方からのクローズアップ多用で威厳を強調されていた神父は、結局なんだか頼りないうえに、おいしいところだけを持っていく。