いつものジョン・ウォーターズ作品みたく犬のウンコを食べないし巨大ザリガニにレイプもされないし観客にオナラの臭いのシートを嗅がせたりもしない。
強烈すぎる毒気は完全解毒されて悪趣味なお下劣さが鳴りを潜めたメジャー進出の第1作目。
だからといって全然ジョン・ウォーターズの映画じゃないかと言ったらそんなことはなくって、60'sのメイク衣装や美術が糞ほどポップでキュートだし、ゴキブリ野郎と罵られようともゴキブリで何が悪いんですか！？？っていう底抜け自虐カウンターも健在。
作品自体の毒気が抜けたことでディヴァインの役柄の情緒も安定していて、驚くほどほんわかディヴァインなのを見ているだけでもすっごいハッピーな気持ちになった。
いつものお下品クイーン状態はもちろん最強に好きだけどこういうのもたまには良い。遺作だってね。
溢れんばかりの優しさと隠しきれない底意地の悪さで出来てる映画だから否応なく好き。
