【1953年キネマ旬報日本映画ベストテン 第1位】
『東京物語』『雨月物語』を抑えキネ旬1位を獲得した作品。監督は『青い山脈』『真昼の暗黒』などの名匠今井正。タイトルは『にごりえ』だが、「十三夜」「大つごもり」「にごりえ」の3つのエピソードから成るオムニバス映画になっている。
樋口一葉作品に一貫してある女の哀しみをそれぞれ過不足なく演出してみせている。
久我美子、淡島千景はもちろん杉村春子も素晴らしい。「大つごもり」でこれ岸田今日子じゃない!?って思ったら本当にそうみたい。ノンクレジットだけど。
樋口一葉作品は声に出して読むととても美しいと言われる文学だけに映像化は難しそうに思われるが本作は無難にそこはクリアしているし、「哀愁」という雰囲気を一貫して通すことでオムニバスながら見応えのあるものになっている。