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にごりえのchiyoのレビュー・感想・評価

にごりえ(1953年製作の映画)
3.5
2021/9/23
樋口一葉の小説を基にした全3話のオムニバス映画。「第一話 十三夜」の主人公は丹阿弥谷津子で、過去に想い合っていた人との邂逅を描く。が、二人ともが気持ちを口にすることはなく、互いの立場を弁えた時代を感じる大人な対応。ただ、この再会がそれぞれの人生にとって糧になると思える。「第二話 大つごもり」の主人公は久我美子で、お金に困った伯父の力になりたいと思う女中の話。奉公先の放蕩息子が登場した時点で察しはつくものの、それでもラストではホッと胸を撫で下ろした。「第三話 にごりえ」の主人公は淡島千景、少し気怠い雰囲気を持った女性の役がとても似合う。宮口精二演じる源七がどうしようもなく、彼の妻演じる杉村春子が不憫でならない。ラストがなかなか衝撃的。
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