いつまちゃん

にごりえのいつまちゃんのレビュー・感想・評価

にごりえ(1953年製作の映画)
5.0
男尊女卑のエグい明治時代に生き
24歳で短い生涯を終えた女流作家、
5000円札でも有名な樋口一葉の
3作品をギュッとひとつにまとめた
オムニバス映画。

樋口一葉は私の大好きな
作家の1人で、
彼女がこれだけたくさんの
偉大な作品を残しながら
24歳で亡くなった事実は
たまに思い起こされて
色んなことを考えてしまう。彼女は
その若さで、女の苦しみを、この世の
あらゆる現象の爛れを知り尽くしていた。


そんな愛すべき作家の
偉大な3編を完璧な映像作品に
仕立てたのがこの映画。
古い白黒映画だが、かなり見やすい(大事)
ので若い子でも全然楽しく観れるはず。

...どっちに転んでも苦しいのならと
子供と共にいる道を選ぶ母
...貧乏で他に道がなく、
苦しみながら悪さを働いた善良な少女、
....ただ自分の差し出せるものを使って
幸せになろうとしただけの
悲しい遊女と夫の愛を失った悲しい妻

女に自由がなかった時代の悲しさを、
でもその悲しさに宿る美しさと強さを
しなやかに描いたそんな映画。

私は大つごもりが1番好き。
2円札盗んだ後の
罪悪感の描き方が斬新で
「(やめたって❗️しゃあないやん😭❗️❗️❗️)」と胸をかきむしってしまった。