じろちぃ

レイジング・ブルのじろちぃのレビュー・感想・評価

レイジング・ブル(1980年製作の映画)
4.8
デニーロの肉体改造伝説はこの映画だったのか!

実在の人物の話なので辛い。
アメリカ映画によくある「とりあえずめでたしめでたし」という終わり方ではない。
最初と最後の音楽の効果もあって、なんと言うか、静かに辛い。

モノクロの中に時々うっすら色が現れたのは、人生の中の幸せな時間がそこだけだったのかな、などと。

全て観終わってからあらためてオープニングを観てみた。
どうやらそこに人は大勢いるようだが、フードをかぶったボクサーはひたすら自分とだけ向き合っている。
流れる音楽はカヴァレリア・ルスティカーナ。この美しいオペラで描かれるのはイタリアの貧しい人々の暮らしと三角関係のもつれから起きる決闘の悲劇。
美しく悲しい音楽の中で、
孤独を抱えて見えない敵を打つボクサー。
続く劇場の楽屋では、
闘いの日々を自虐ネタにする、体の緩んだ元ボクサー。

辛い。
じろちぃ

じろちぃ