ティンク

レイジング・ブルのティンクのレビュー・感想・評価

レイジング・ブル(1980年製作の映画)
3.9
【過去作レビュー】
『デニーロ・アプローチの到達点、で終焉』

ハードディスクに録ってあったのを久々に鑑賞。
前に観たじゃんと思ってたけど、ちゃんと全編鑑賞していなかったことが判明。テレビとかでなんとなく見た気になってただけなのかも。じっくり鑑賞。

実在のボクサー、ジェイク・ラモッタの半生。さみしい後世まで含めた、裏「ロッキー」作品。

主演はロバート・デ・ニーロ。
デ・ニーロで真っ先に思い浮かぶのが「タクシードライバー」のトラビスと「デニーロ・アプローチ」。そう、役になりきるには手段を選ばないアプローチ。日本でも、心酔した松田優作さんが殺し屋役で鮫の眼の演技をされてました。

本作でも、タイトル奪うボクサー時代と晩年の中年時代とで、なんと体重を27キロ増減させてリアルに演じています。なのでアカデミー賞も受賞。

でも、ロバート・デ・ニーロさん、このあとはデニーロ・アプローチ的な作品、影をひそめるんですよね~。フィルモグラフィを見ると、初期にはチャラいコメディとかも出演しているし、デニーロ・アプローチっぽいのはスコセッシ監督との「ミーン・ストリート」からここいらあたりまでみたいです。

何でなのかなってちょっと考えたんですが・・・。

・主役が実在しない作品の場合(例:タクシードライバー)
 主人公のベトナム帰還兵トラビスを痛々しいまでにリアルに演じる程、観客は「ああ、こんな人がいたんだね~」と単純に思ってしまう。(デ・ニーロの「演技」を評価するのは俳優デ・ニーロを知ってる人だけ)

・主役が実在の人物の場合(例:本作)
 どれだけ実在の人物に迫ろうがそれはまがい物。本物を知りたければドキュメンタリーを見ればいい話。でなくて実在の人物をベースにドラマを見せたいんであれば、別にここまでなりきらなくてもいいじゃん。

ということで、本作後、そこまで役になりきる手段を選ばないアプローチって別に必要ないじゃんって気付いてしまったんじゃないでしょうか。

なので、「デニーロ・アプローチ」の到達点を堪能できる作品として、本作が作品賞かと思います。

(映画好きとしては、後日、本家「ロッキー・ザ・ファイナル」に影響を与えているのがなんともニヤリです)
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