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あの空に太陽がの一人旅のレビュー・感想・評価

あの空に太陽が(1975年製作の映画)
5.0
TSUTAYA発掘良品よりレンタル。
ラリー・ピアース監督作。

E・G・ヴァレンスによるノンフィクション「A long way up」をラリー・ピアース監督により映画化したもので、競技中の事故で半身不随となった実在のスキー選手:ジル・キンモントの半生を描いたヒューマンドラマの佳作となっています。

オリンピックの有力候補として世間に認められながらも、1955年に競技中に滑落事故を起こし半身不随となり、車椅子生活を余儀なくされたアメリカの女子スキープレイヤー:ジル・キンモントを題材とした伝記映画です。

予期せぬ大事故によりそれまでの幸福に満ち足りた人生を破壊され、大好きだったスキーはおろか歩くことすらできなくなったヒロインが、将来への不安や絶望を乗り越えて、小学校の教師として新たな人生を歩み始めていくまでの苦難の道のりを事実を基に映し出しています。障害者に対する偏見と差別に晒され、何よりも“体が動かない”という耐え難い身体的&精神的苦痛を味わいながらも、決して人生を諦めることなく毅然と前を向くヒロインの姿に心打たれますし、自身の障害に向き合うヒロインの苦悩と再起を過度な感傷性を排したリアルな心理描写で丹念に描いていることも素晴らしいのです。

主演のマリリン・ハセットが突如として不幸に見舞われたヒロインを繊細に演じ切っていますし、彼女を精神的にケアする恋人を演じたボー・ブリッジス(ジェフ・ブリッジスは弟)のあっけらかんとした演技も魅力となっています。
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