せいけ

めしのせいけのレビュー・感想・評価

めし(1951年製作の映画)
4.7
日常的場面の積み重ねで物語を展開していく繊細な作品
出された料理を食べる夫に愛想を尽かす妻といういわゆる倦怠期夫婦モノ
家の中での会話は「腹減った」「めしまだか?」女中かのごとくルーティン的にご飯の支度洗濯掃除を繰り返す日々に女性特有の地獄を感じる
パッと見平凡でなんてことないような描写をしっかりドスンと感じさせる演出力はさすが
演者に本音を言わせない会話劇もお手の物で、気まずさがどんどん積もっていく
それゆえ故郷に帰ったときの解放感と違う世界を見るときの視点の逆転で物語を着地させていくのが見事
この価値観も今の世の中では古風になっているのかもしれないけれど、ここに出てくる夫婦の物語としてはこれ以上ない落としどころに感じた