めしの作品情報・感想・評価

「めし」に投稿された感想・評価

黒澤組のスクリプターだった野上照代は、自著にて「黒澤さんが尊敬している人がいたとすれば、間違いなく成瀬さん」と言っているそうです。その「成瀬さん」こそ、今作の監督、成瀬巳喜男です。

黒澤明が尊敬していたとすれば、少なくとも作風ではないのはわかります。なんとなく小津安二郎に近いカメラワークで、極力セットもストーリーも日常に近づけようとしているのが見てわかります。これは黒澤明とは対をなすまでは行かずとも、作風に影響を受けたとは言いづらいです。おそらく、プリプロ段階や現場での立ち回りでの影響が大きいのではないかと考えます。

主演は、小津作品常連の原節子。東京からやってきた里子役には、島崎雪子。まず、60年も前の女優ながらどちらも美しいんですよ。原節子は綺麗タイプで、島崎雪子はかわいいタイプ、これは演技でキャラ分けされているから成瀬さんの演出のうまいところです。

作品通して、キーになるのは島崎雪子演じる里子です。これを現在の監督が作ったら間違いなくホラー、あるいはサスペンス色が強くなると思うんですね。それくらい怪しいキャラクターなんです。それをあえてなのか優しい描き方で描いたのは、この時代の日本という国の民族性を考えてのことでしょう。なにせ監修が「美しい日本の私」の川端康成ですからね。おそらくそうでしょう。

原節子のやつれ方の変遷は見事でした。
くま

くまの感想・評価

3.5
美男美女が倦怠期夫婦を演じていて面白い。毎日妻の顔を見るなり「めしは?」はやってられんよな... 飼い猫に愛情が偏るのも当然な気がする(笑) そういう夫婦の関係性に喝を入れた映画。最後は見つめ直すことが出来て良かった。
Junko

Junkoの感想・評価

4.4
夫婦の描き方がとても上手くて
台詞で表さなくても分かる描写の数々にやはり凄いなぁと感動。

島崎雪子演じる姪が空気が読めないし、小悪魔的だしで
原節子様のイライラムカムカ具合いは
観ている私にも伝染した程。
それだけ島崎雪子さんの演技や
原節子様の何気ない表情や動作が上手いんだなーと。

言葉に表さなくても、
夫婦って分かっていくものなんだろうな
現代だとそうはいかなそうだけれど…

時代背景もあるし、
ラストはあれで良いと思うな
冒頭で原節子が「ユリちゃん」と呼びかけているのが、子どもではなく猫って点から、所々で子どもの不在が不気味に漂う。倦怠期の夫婦が遠くから来た若い娘(島崎雪子)にかき乱され、結果持ち直すって話は久我美子が大阪から襲来して、原節子と森雅之(ここも子どもいない)をかき乱す、川島雄三『女であること』にまんま踏襲されている。あと『淑女は何を忘れたか』の桑野通子。町中を散歩してる時の手持ち主観ショットにボイスオーバーとかヌーヴェル・ヴァーグっぽい。

上原謙と島崎雪子が手を繋いで前に走って行くカットの直後、原節子が家でロボットのようなカクカクした動きで雑巾がけをしながら四つん這いで後退していく、方向の対比!それにしても1951年の原節子は本作、黒澤『白痴』、小津『麦秋』で主演するというビッグイヤー。

2017/10/25 DVD
田

田の感想・評価

4.2
「感情をベタつかせて、無意識に他人に迷惑をかける人間は大嫌いだな」あっ、すみません…………
どうしても見たく初アマゾンビデオ。
奔放な姪に惑わされる前半はフランス映画のよう。
カットバックで描く夫婦模様、大変面白い。
上質な上質な夫婦ドラマ。上原謙一番いい!
やはり成瀬は肌に合う。映画の水準も毎度高いしほんとに凄いと思う。
怒りの剣幕で米を研ぐ原節子さんが印象深い。そしてあのスピード感。

このレビューはネタバレを含みます

離婚エンドが原作サイドからの意向で駄目になり、ラストが変わったらしいのですが、このラストでこそ昔の日本人、日本映画らしくなったと共に、個人的にも良かったと思いました。
人生のバイブルの一つに成りそうです。

今も昔も意地悪女の遣り口は変わらないんだな〜。余りにも等身大の嫌な女で原節子同様笑いそうになりました。
otom

otomの感想・評価

4.5
よそん家の夫婦喧嘩と云う最高にどーでもいい題材ながら実にドラマチック。他の作品でもそうだけども、ピキピキしている時の原節子の怖さと表現の濃密さ。加山同様に隠しきれないモテDNAの上原謙、ド正論の小林桂樹+ニャンコ等々で層の厚さもまた感じる。締め方としては、フェミニストの皆さん的に大激怒しそうな終わり方ではある。しかし、もはや神話かお伽みたいなレベルになってしまった昭和の人々の営みに、林芙美子じゃないけども愛おしさを覚える。傑作。
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