めしのノノのレビュー・感想・評価

「台所と茶の間と女の命はやがてそこに虚しく老い朽ちていくのだろうか」というモノローグから始まる。倦怠期の夫婦の家に姪が来ることで状況が変わっていくという構成は小津の『淑女は何を忘れたか』に似ている。ただこの作品の原節子演じる三千代は家父長制に耐えひたすら家事に追われて家の中に囚われている。もう結婚生活を投げ出しちゃおうと考えるところ、意地を張って手紙を送らないところ現代の人と変わらない。嫉妬、愛情からくる憎しみ、これでもかというほど伝わってくる。