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血煙高田の馬場のあのレビュー・感想・評価

血煙高田の馬場(1937年製作の映画)
4.5
カット割らないうちに一気に3人くらい斬り倒す刀捌きが、ブルース・リーの拳を思い出させます。なぜそんなに早く動けるのよ...

初っ端から尋常じゃない数のエキストラに驚きますが、中盤の「一番星消えたぁ」のところでラストへの期待値が突然さらに跳ね上がりました。千鳥足をうまく使いながら、崩れるように相手を切り倒していくところが見事でした。ことが終わるとカメラの前に出てきて、歌舞伎役者らしく見得を切ってみせるところもよかったです。

酔っ払いを演じながら殺陣もこなす両刀使いもさることながら、最後には二刀流で360度回転しながら相手を斬り倒していく迫力も素晴らしいかったです。あれだけのエキストラを使いながら、長屋の住民たちの観戦も殺陣も同時に演出したのはどれだけ大変だったことでしょう。

それにしても、安兵衛専用の高速道路があったのには笑いました。なんだあの長い道は笑

ただ、現実にそういうものがあるかどうかよりも、走りを見せるためだけに長い道を使ってしまうというような、ロケーションを自分で作ることこそがスタジオセットの時代の良さなのかとも思わされました。今の時代は、馬鹿高い賃料のスタジオを借りればある程度綺麗な絵が撮れますが、そうした商業映画があんまり面白くないのは、既に作られたロケ地以上のものがないからでしょうか。
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