このレビューはネタバレを含みます
プロントン目指して兵士が土手を登って行くシーン。白黒映画であることも手伝って、地を虫が這っていくようにも見える。気持ち悪い。
兵士たちの死は全く美化されていない。雨の行進のなか、泥水に顔をうずめて死んでいると思われた兵士が、一瞬顔を上げ、「なんだと(てめエ、コノヤロー)」ととでも言うように一言吐き捨てたあと、ボテッと死んでゆく。米軍の戦車による戦闘シーンでは、死体がレイテの湿地の泥にポチャっと刺さる。兵士たちの死体は泥だらけだ。美しくない。滑稽でさえある。
そしてトドメのカニバリズム。「おれを食べてもいいよお〜〜」
その淡白な言い回しには、思わず声をだして笑いたくなるようなオゾマシサがある。
人間が、にんげんが、死んでいるというのに、人が死んでるっていうのに、ぜんぜんマジメじゃない。ぜんぜんシリアスじゃない。人間は、虫のように、ボテっと、ポチャっと、こんな風に尊厳なしに死んでいいのか。
死を美化しない、徹底的な反戦映画です。『永遠のゼロ』? 糞食らえ!!!