野火の作品情報・感想・評価

「野火」に投稿された感想・評価

死体として横たわる兵士の軍靴を次々に自分のと取り換えていく歩兵たちの場面。当然最後はボロボロになっていくんだけどユーモアを描く余裕が戦後数年目に生まれたのかと思うと、ここは意味のあるいいシーンだな。
hepcat

hepcatの感想・評価

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野火、レイテ戦記、大岡昇平が残した太平洋戦争の小説
彼自身が実際この戦争を経験しているから、俺にはこの作品が嘘なのか本当なのかわからないし、知りたくもない

原作の細かな心理描写を読んで、視覚から入ってくる物全てが衝撃的で気持ち悪くなった

生きる意味もなく死ぬ意味もない
だけど生き続ける主人公

うぅ今まで観てきた戦争映画で1番生々しいし、イカレ過ぎて世界観がよくわからない

猿を食べる(隠語)

この映画で大切なのが、やっぱりこういう事が実際にあったという事だよね
フィリピンのレイテ島にはまだこの戦争の戦跡があるみたい
shibamike

shibamikeの感想・評価

3.0

このレビューはネタバレを含みます

野比ぃ!廊下に立っとれぇ!

「野火」。

自分はこのタイトルの読みが分からなかった(…またか)。
タイトルの読みが分からないということで、先日も映画「東京暮色」にて受付で恥をかいているので、君子同じ轍は踏むべからず、と今回は受付で慎重に口を開いた。

私「…17:35の回、大人1枚で。」
受付「えーと、…あ、"のび"ですね。」
私「…はい、のびで。」

あぶねー!"やか"、"やび"もあるのではと迷っていたので、また要らぬ恥をかくところであった。"のび"なのね、"のび"。上映開始時間を告げるという姑息な手段。男っぷりをどんどん下げているが、世間を渡っていくというのはこういうことなのでしょう。そもそも事前にインターネットで調べろってね。受付の人が間違えてるかも知れないし。

"のび"っていうと真っ先に頭に浮かぶのは野比のび太。漫画ドラえもんの主人公。「野ぉ比ぃ廊下に立っとれぇ!」とか先生の怒鳴り声いいね(のぶ代世代)。
本作の主人公である田村一等兵、のび太ほどではないが、結構抜けているところがある気がしたぜ。

フィリピンが戦場。
冒頭、病気持ちの田村一等兵(結核?)が上官から怒鳴られるところから映画が始まる。要約すると、「隊は壊滅状態でやることも無い、食う物も無い、折角お前は病人なんだから、野戦病院に何が何でも入れてもらえ。このバカ!スカタン!」という火を見るよりも明らかな食い扶持減らしであった。田村一等兵の言い分は「病院に入れてもらおうと粘ったけど、頑として入院させてもらえませんでした」というもの。
それを受けて上官から鬼の一言。
「病院に入れてもらえるまで、粘れ。駄目だったら自決しろ。」
というまるで命が2個か3個あるかのようなとんでもないやり取りを初っぱなから見せつけられる。
田村一等兵も上官の言い分を受け入れ、とぼとぼ病院へ再度向かう。
でもやっぱり野戦病院には入院させてもらえず、同じようにあぶれたゴロツキ達と野宿。

細い芋をポリポリかじる日々が続くのかと思いきや、敵からの襲撃があり、みんな散り散りに。
田村一等兵はジャングルをふらつく中で教会の十字架を見つけ、ある村にたどり着く。が、人っこ1人おらず日本兵の死体が山積み。おまけにとんでもない身体能力の狂犬に襲われたり、村人の生き残りの女性を不必要に殺してしまったり。精神がキリキリきしんでいく。

で、田村一等兵は何だかんだで日本兵みんなが集まることになったらしい場所「パロンポン」を目指す。パロンポン、言葉の響き的にはとても楽しそうだ。下痢止めの名前にありそう。「下痢、その前にパロンポン。あっ、小林製薬」。
ボロッボロの日本兵がながーい列を作ってとぼとぼ歩き続ける。道に落ちている割かし綺麗な靴を拾って、履いているボロい靴を捨て、その捨てられた靴を次の人が拾って、というシーンが印象的だった。一番ボロいのを履いているのが田村一等兵。

もう一息でパロンポンだ、という所で敵軍に阻まれる。カエルのようにゲコゲコ這っていた日本兵が敵からの待ち伏せ襲撃で一網打尽。やっぱりカエルのようにあっけなく死ぬ。ゲロゲーロ!ゲロゲーロ!

我等が田村一等兵は命からがら生き延びる。しかし、食料の無い過酷な状況。泥を食う頭のイカれた奴が出てきたり、状況が最悪なことが明確。地獄。

どうなってしまうのかと思った所で、序盤の野戦病院で出会った永松と安田に再会する田村一等兵。この二人はジャングルの猿を仕留めて、猿の肉を食って飢えを凌いでいた。と思ったら彼らは、猿ではなく日本兵を殺して食っていた(わお!)。死んでいる人間のお肉を食うというのはまぁしょうがないとしても、「食うために殺す」というのには面食らった。しかも味方を。
田村一等兵は手榴弾を持っていたのだが、安田にあっけなく取られてしまうのには苦笑い。まぁヘトヘトだしね。

最後、永松と安田との決着がついた後、田村一等兵は遠くに野火を見つける。「…野火だ!野火の下には普通の人達の生活があるはずだ。…俺は普通の人に会いたい。」
よたよた野火を目指す田村一等兵に、敵からの銃撃が容赦なく襲いかかる。あっけなく異国の地フィリピンで死んだ田村一等兵。
田舎はヤダ!と言って関東に出てきた自分勝手な自分。田村一等兵は行きたくもないフィリピンで死にたくもなく死んだ。同じ日本人と思えない。

「人肉を食う、食人」ということに対し、自分は少し興味を覚える。と書くと自分が人肉を食べたがってるようだが、そういうことではなく、下世話な興味を持っているという意味。戦争中や遭難時などの極限状況、パリ人肉事件などの猟奇事件、カニバリズム信仰のジャングル奥深くの部族達なんか、怖いけど気になるよね。食べられる方はたまったもんじゃないけど。この映画もそういう「食人」の話があると聞き、下世話な好奇心をパンッパンに膨らませて鑑賞した。が、食人要素は飾り程度で、あくまでも戦場が狂っているという描写がメインだと思った。食人描写をメインにしてたら、B級ホラー映画感出るしね。
ただ、自分が人の肉を食うとしたらどこの部位を食うか?というのは考えたことがある(やっぱ興味あるんやんけ)。雪山遭難の映画でお尻の肉を食べていたのを観て以来、「お尻の肉なら自分も食べることができそう!」とピーマンかニンジンなど苦手な野菜くらいに考えてしまっている。

野ぉ火ぃ!パロンポンで燃えとれぇ!(?)
あな

あなの感想・評価

3.0
初の市川菎監督作品。古い映画ではあるが、今でも語り継がれている作品だけあって戦争という緊迫した状況下と食糧難からの飢餓で狂っていく兵士の姿を生々しく描いている。
今作の主人公田村を演じている、船越英二という役者さんのことは今作で初めて知ったが、人間、日本人としての自我を保ちつつもすでにどこか限界を越えているような口調や表情がひしひしと伝わってきて、いい演技をする人だなと思った。
まだまだある市川菎監督作品、これから順を追って少しずつ鑑賞していこうと思う。
何のために生きてるのか分からない極限状態で、只々前に進んで行く兵隊たち
戦いもせず、殺されたりのたれ死んだりする様はそんな状態を前にするとほぼほぼ無感情になっていく様は逆にリアリティがあって、観てる僕も傍観してしまう

観る度に、反戦というよりも、もっと大前提の何故戦ったり殺しあったりするのかを訴えかけられる気がします

船越英二さんはやっぱり凄いなぁと思う
ミッキーカーチスさんの飄々としながらも平静の中に狂気が宿ってるトコも素晴らしいです
靴の描写と浜村純さんの場面がとても印象的
他にも色々静かにグサリと刺さってくる描写が多数あります
ぴ

ぴの感想・評価

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白黒でも表情、天候、香りに触感があり何ともリアルだった、透過されるものの影、極限のカニバリズム、対極に位置する野火、人々の生活の中に営まれるありふれたものは全て愛しい

不謹慎なんだけど100ハイを思い出してちょっと笑った
okimee

okimeeの感想・評価

4.0
塚本版とはまた違ったこわさと圧倒力!!

船越英二は泥だらけのキチガイ手前でもイケメン。。


2018年100本目。
KR

KRの感想・評価

3.8
「田村一等兵、これより直ちに病院へ赴き、
入院が許可されない場合は自決致します…」
「よし!元気で行け!!」

冒頭から皮肉なやり取り、
というか意味不明な命令が下される。

レイテ戦、
田村は肺病で体力が落ちて隊を追われるが、
現地の野戦病院も受け入れる余裕がない。

田村はひとり森をさまよい、
究極の飢餓と孤独のなかで、
人間の尊厳を失ってゆく……。
人間は劣悪な環境下で、人間としての尊厳を守れるのかどうか。

永松と田村の両者の行動にどれほどの違いがあるというのだろうと
深く考え込んでしまった。

アメリカで処刑された死刑囚の少なくとも10%が
退役軍人だとする報告書を読んだことがある。
兵役を終えた後もPTSD(心的外傷後ストレス障害)が
重くのしかかるのだろうなあ。
naopopo

naopopoの感想・評価

3.3
淡々と描いてはいるが、映像のほとんどは人間の狂気を描いている。

考えると恐ろしい。
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