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手をつなぐ子等のJeffreyのレビュー・感想・評価

手をつなぐ子等(1948年製作の映画)
3.0
「手をつなぐ子等」

冒頭、昭和の時代。とある田舎町、一人の特異児童が転入してくる。彼の名は寛太。知的障害児である。笑い者に、虐め、父の召集、母の憂鬱、悪童の山田、教育熱心の松村先生。今、小学校の門をくぐる子供たちの日常生活が映る…本作は後に五八年ベネチア国際映画祭最高賞金獅子賞を受賞した「無法松の一生」の稲垣浩が一九四八年に大映で監督したモノクロ映画で、レンタルされていない為、この度角川DVDを購入して初鑑賞したが素晴らしい。主演が小津映画の常連役者である笠 智衆、杉村春子だったので、昔からタイトルは知っていたが、やっと見れて幸せだ。更に撮影は宮川一夫と、 田村一二の同名の著書を原作とした一作である。因みに六十四年に羽仁 進がリメイクしている。

さて、物語は中山寛太は特異児童と呼ばれる知的障害児だった。何度も学校を変わったが。どこの学校でも手を焼いていた。両親はそんな息子にため息を吐きながらも、気にかけているがある日、父は召集されてしまう。一人残された母は憂鬱な気持ちで新しい小学校の門をくぐった。ところがその学校には児童の教育に熱心な松村先生がいて、息子を温かく指導した。その結果、寛太は友達もでき、学校が楽しくなった。そこに山田と言う悪童が同じ組に入ってくる…と簡単に説明するとこんな感じで、知的障害児と教師の心の触れ合いを描いた児童文学である。

正直な話、特異児童と言うものにあまり知識無かったんで、観れて良かった。あの廊下に机を放り出されてそこで勉強させられる寛太の姿をこっそりと父親が見る場面は強烈である。静かで何のアクションも起きないが感情が揺さぶられる。ほぼクライマックス付近の仰げば尊しは当時の日本の風景に会う。
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