手をつなぐ子等の作品情報・感想・評価

「手をつなぐ子等」に投稿された感想・評価

TsutomuZ

TsutomuZの感想・評価

3.8
子役でもない一般の子らと、あの演技の笠智衆の共演が最高。

この何時破綻するかも知れない「ほつれ」が愛おしい。

京都生まれ京都育ちの私には子どもらが話す市井の京都言葉が祖母と同じで美しく懐かしい。今どきのけったいな京都弁と違う。
あんまり意識してなかったけど、自分が好きな映画の傾向として、子どもが登場する作品が多いみたい。

「チキチキ・バンバン」「シェーン」「我は海の子」「生まれてはみたけれど」などなど。

ま、本人の精神年齢が低いというのも一因かも(いまだに気持ちは中3の頃から変わんない苦笑)

というわけで前回レビューの「長屋紳士録」に引き続き、子どもが登場する作品……しかも主役は前回と同様に笠智衆。

「手をつなぐ子等」は戦中に発表された児童文学を原作とした、心身障害児や不良少年とクラスメート、そして教師との交流を描いた作品。

脚本はこの映画の完成を見ることなく公開の2年前に他界した伊丹万作、監督はイナカンこと時代劇の巨匠・稲垣浩。

赤ん坊の時の熱病が原因で脳に重い障害を負った寛太は、今みたいな受入体制が整っていなかった教育現場において、当然落ちこぼれとして小学校を転々とすることになる。

さらに不運なことに父親も兵隊に取られてしまい、たった一人残されて途方にくれる母親だが、次なる転校先で、松村訓導(訓導:教諭の旧称)という熱心な教師と出会ったことで状況はガラッと変わる。

この松村訓導を演じたのが笠智衆。

早速取りかかったのは、寛太の学校嫌いを無くすこと。先生は教え子たちと手を携えて、寛太をあたたかく迎えるのだった……。

で、寛太くんがやっと学校に行くのが楽しみになった頃、札付きの悪ガキである転校生・金三がやってくる。

この金三が本当に憎たらしいほど悪人面なんだこれが。登場早々、いきなり動物たちをいじめるから物凄い。

この時、物陰に隠れたアヒルが恐る恐る顔だけ出してまた驚いてすぐに引っ込めるシーンがあるんだけど、これ、どうやってアヒルに演技指導したんだろうか。

そんな手をつけられない金三はすぐに寛太をいじめるようになる。

普通ならそこでバチィィン!と張り倒したくなるところ、松村先生は金三の行動は寂しさの裏返しであることを見抜くのだった。

どこまで聖人君子なんだ、松村先生。でもそんなのが鼻につかないのは演じる笠の朴訥とした演技によるものだと思う。

ベタな展開だけど、淡々と描いているから臭くもならず、最後まで引き込まれて観てしまった。

ラスト、卒業式の帰り道に、タイトル通り生徒らが手をつなぐ場面が印象的だった。

全編に渡って結構いいカット多いなぁと思ってスタッフを調べてみたら、そりゃそうでした、撮影監督が宮川一夫でした。

■映画 DATA==========================
監督:稲垣浩
脚本:伊丹万作
製作:松山英夫
音楽:大木正夫
撮影:宮川一夫
公開:1948年3月30日(日)
「手をつなぐ子達」観了。知的障害のため何度も学校を変わった少年が、熱心な小学校教師(笠智衆)とクラスメートと出会い、学校が楽しくなるが、そこに札付きの悪童が転校してきたために⋯という話。日本の障害児教育の先駆者である田村一二の原作を、伊丹万作が脚本化(これが遺稿となった)、稲垣浩が監督した昭和23年の作。

1950年代以降、日本の教育は、「お国のための人材資源育成」(「マンパワーポリシー」に象徴されるような)を実現すべく、国家統制下に組み込まれる。だが、それより前の終戦直後には、在野の教育者が模索した自発的で生活に根ざした教育運動(無着成恭に象徴されるような)が、盛り上がりを見せていた。そうした終戦直後の自由な教育のムーブメントに、本作の関係者が位置づけられるのかどうかは知らない。だが、少なくとも、本作には、後の学校教育で幅をきかせることになる、効率優先主義も過剰な競争も職業訓練としての授業も無い。しかも、時代設定が昭和12年なのにそれが無い。昭和初期といえば、明治初期の自由主義的教育が終焉し、国家の統制による国家のため(「殖産興業」「富国強兵」に象徴されるような)の教育が主流(大正自由教育運動を除く)だった時代。なのに劇中ではそんな雰囲気が全く無く、ひたすら伸び伸びとした教育が展開されている。原作が発表されたのが昭和19年なので、単にその内容に従っているだけなのかもしれないが、そうだとしても、戦前の日本であの自由な空気というのは違和感がある。逆の言い方をすれば、目指すべき “理想の教育” が思いっきりフレーム・アップされている。もしかしたら、それは、原作者の強い意図あるいは願望なのかもしれない。そして、終戦直後の日本の教育界に巻き起こったのは、まさに原作者が望んでいたような、理想に燃えた熱意であり、その熱意が本作にも大きく影響しているのだろうと思う。

そして、そうした自由で伸び伸びとした空気と熱意の元でのみ、人間的で豊かな教育は展開しうるのだという本作のメッセージを、理想主義に過ぎると片付けることが出来ないほど、本作は感動的な名品なのである。
青二歳

青二歳の感想・評価

3.6

このレビューはネタバレを含みます

1948年大映。笠智衆若き教師役。舞台は昭和12年(1937)、知的障害児童“特異児童”の物語。えこのイケメン子役長門裕之なの?(・д・。)
さてなんで今作を撮ったんだ大映…?と軽く背景も考えると、大映が映画化した時は養護学校発足したばかりで、笠智衆に言わせているように、"特異児童"の教育の必要性を認知させたい時期。
養護学校は主に戦後に稼働。盲学校・聾啞学校の歴史は私塾・公立校ともに明治時代からあります。そこに身体障害・知的障害児童も含めた体系が整備されていくのは戦後の教育基本法から。
原作の発表は44年なのでまだ彼ら"特異児童"の自立教育についての体系もノウハウもこれからという時なんでしょう。戦前の救護法の方での取組の実績は体系立てられていたかは微妙でしょうし。で、昭和12年の物語としてフィクションの体で問題提起したものというところかなと。GHQ検閲下ですからこの手の啓発映画もね。

それだけでなく、子役たちがとにかく熱演でよかったです。イジメを乗り越えた先の友情とかベタなりに妙な説得力があります。
修身の授業っていいな…笠智衆がやるからかな〜
大映京都、何が楽しいって、遠足で子供らが嵐山に行った時、映画撮影のロケハンに出くわすんですが、こういうメタネタ挿入してくれるの好き。河原で殺陣なんて子供たち喜んだでしょうねえ。
なお撮影は宮川一夫。'44年の"土俵祭"みたいにクローズアップやクレーン等色々試しててすごい楽しそう。遠景はこの頃からかっこいいです。
N

Nの感想・評価

4.0
『生誕110年 女優 杉村春子』にて

 知的障がいのかんちゃんをいじめていた転校生の山金が、かんちゃんとの触れ合いの中でだんだんと純粋になっていく話。
 笠智衆さん演じる彼らの担任が本当に素晴らしかった。かんちゃんや山金を突き放すわけでもなく、手を差し伸べるわけでもなく、ただ見守っていた姿がとても印象的で、教育者とはどうあるべきかについて改めて考えさせられた。
rico

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3.3
阪妻「無法松の一生」が良かったので、稲垣×伊丹万作コンビのこれを観賞。

今で言う所の「特別学級」タイプの子ども、「かんちゃん」をいじめているうちに、クラスのガキ大将「山金」がかんちゃんに感化され純粋になる、というさわやかなお話。(尚且つ、原作はルポルタージュということで実話ベース)
カメラは宮川一夫なのだけども、いかんせんパンしまくっている。