今年ダメ押しの香港系、アンディラウ&ジャッキーチェン。
弱きを助け、強きを挫く、“少林寺”。
民と共にあり、人々の生活と共にある中国の武術、少林寺拳法。
昔から数多あるこの中国武術の映画たち。
今回もそれらを改めて、この武術の根本を伝えてくる作品。
しかも、現代の香港が誇るアクションの2大スター、アンディラウとジャッキーチェンで。
なかなかスケールが大きく、お金もかかってて、ただただカンフー系アクションに終始するわけでもなく、話も面白い。
もちろん昔の少林寺系の映画も、アクションにしろ、その教えにしろ純粋に極めてそれを貫く強さを魅せてくれた。
今回はもっと厳かと言うか、争いの果てに描かれる悲しみもしっかり描いている。
特に前半は少林寺は控えめで、アンディラウのそこに行き着くまでの軍人としての政治や駆け引きを描き、そこであまりにも多くを失った果てにここ“少林寺”に再び舞い戻る、、、。
深い悲しみの果てに、そこで彼が何を見つめ、何を失い、何を得ていくか。
そこに現れる少し呑気な少林寺の厨房係がジャッキーチェン。彼がいつしか、アンディラウに寄り添い、彼の悲しみと共に歩き、彼の再帰に手を差し伸べる。
かつては、ジャッキーが悲しみや強きにくじかれて挫折した青年で少林寺の教えで再起を図ってきた作品があるだけに、この辺はとても感慨深い。
軍人として全てを失い、そもそも少林寺と対立関係で色々とやってきた彼が、ジャッキーと少林寺に拾われ、イチから新たな何かを見つけていく話。
現代の映画として、これまでの少林寺映画にスケールの大きさを加え、重厚に仕上げながら、ジャッキーから溢れるユーモアも欠かさず。
“形あるものはすべて虚妄なり”
少林寺の拳法とは、単に腕っぷしの強さやカンフーの技術を学ぶことにあらず。
それはあくまで手段に他ならず、己を律し、探究し、磨き、清く正しく、他の民と、そして自分と向き合い、調和していくような。
アンディラウにしてもここまでの歴史の中で少林寺と向き合う作品にも出ていて、根底にはその教えがある。
だから、この映画から伝わってくる武術の極意がとても深く、静かで、優しく、でも、強い雰囲気がガンガン伝わってくる。
決して政治や軍事力や私利私欲には負けず、弱きを助け強きをくじき、調和をもたらす少林寺拳法。
その新たな、でも、古から変わらずにある教えと鼓動を感じれる良い作品。
ここまでしっかり作り込まれてたら、日本や欧米、世界にも伝えられると思えるカッコ良さがあった。
弟子たちの絆や連携、そして、そこにアンディラウも包まれていくところもとても見どころ。
ラストのクライマックスはなかなかスゴい。
エモいというか、男気というか、みんなクソかっこいい。
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TSUTAYA DISCAS運営の映画コミュニティサイト「Discover us」にて同アカウント名でコラムニストをさせて頂くことになりました。
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別視点で色々映画について書いていこうと思います!ご興味ある方は是非お待ちしております!
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