かたゆき

スイミング・プールのかたゆきのレビュー・感想・評価

スイミング・プール(2003年製作の映画)
3.0
最近少しスランプ気味の人気ミステリー作家、サラ。
編集者の勧めで彼女はフランスの片田舎にある小さな村の別荘へと趣き、気分転換を図ることに――。
訪れた村の閑静な雰囲気と素朴な村人たちに、サラはどんどんと心が癒されていくのだった。
心機一転したサラは、新たなアイデアとプロットが次々と浮かび、再開した執筆は順調に進んでゆく。
だがしばらくすると、別荘の持ち主である編集者の手違いから、彼の子供であるジュリーという若い娘が転がり込んでくる。
礼儀知らずで自由奔放、さらには毎晩違う男を連れ込んでは情事にふける彼女にサラの平穏だった心は掻き乱されるばかり。
ところが、そんな彼女にも誰にも言えない心の闇があることを知ったサラは、それをモデルにして新たな小説執筆を図るのだった。
そんな折、二人の関係性を決定的に変えてしまうようなある事件が起こる。
流された血は、別荘の敷地内にある大きなスイミングプールへと滲んでゆく…。
頑固で保守的なイギリスの中年女性と男好きで自由奔放なフランスの若い女、そんな対照的な二人の女性が起こしたある〝事件〟をミステリアスな空気の中に描き出す心理サスペンス。

幾つもの知的仕掛けに満ちたそんな本作、ずっと気になっていたので今回鑑賞してみました。
なんですけど、うーん、ちょっと僕の期待していたものとは違った印象でしたね、これ。
妄想と現実、小説を書く作者の現実と小説内のフィクションの世界、それらが混然一体となり観るものをいつしか深い迷宮へと迷い込ませたところで、ラストに明らかにされる予想外の事実。
観客を更なる迷宮へと誘うようなこの世界観は、好きな人には堪らないと思います。
でも、僕はこういう思わせぶりで観客に真相を丸投げするような映画は少々苦手なので、本作も見事に嵌まらなかったです。
でも、映像や作品の世界観などは雰囲気もあって良かったとは思うんですけどね。
要は好みの問題。僕は本作のいい観客とはなれなかったようです。
かたゆき

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