贅肉

ブギーナイツの贅肉のレビュー・感想・評価

ブギーナイツ(1997年製作の映画)
3.5
閉じた人物関係がオープンになり、世界が広がっていくのが「ハードエイト」以降のポール・トーマス・アンダーソン映画なのではないかと推察。カメラの流動と共に焦点を当てる人物も流動させ、そこへ音楽を上乗せし、映画に波を生み出していく手口はスコセッシがやっていたことと見間違える程そっくり。違いと言えば使われる役者ぐらいじゃないか。メイシー、ホフマン、リッキー・ジェイ(デヴィッド・マメット映画の常連のあいつ)、最高すぎる裏方役者。フィリップ・シーモア・ホフマンが可愛すぎるのでそれだけでも本作を観る価値はある。ポルノ業界人が歩む人生の旅路の中でセックス・ドラッグはもちろんのこと出鱈目な死や暴力にもぶち当たる下俗の極み、だが面白すぎる155分。終わり間際では不条理に苛まれながらもぼちぼち前を向いて歩もうとする人たちのモンタージュを見せられて、なんだか暖かくなった。ハートフル映画です。
贅肉

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