ねねちゃん

八日目の蝉のねねちゃんのレビュー・感想・評価

八日目の蝉(2011年製作の映画)
4.3
考え無しに純粋に感動する体験に乏しい人間なんだけど、ラスト1分勝手に涙が溢れて止まらなかった。

「誰かに愛されていて、初めて誰かを愛することができる」とか、「誰かを愛して、初めて愛されていたことに気づく」とか、そういうのがラストに詰め込まれていた。

セックスはするし、離れ難いと思う岸田さんでさえ、その人のことが好きか分からない。なんで自分を好きで居てくれるか分からない。まともな家庭で育ってないからお腹の中の子供を自分が育てられる訳ない、どんな風に愛して、叱って、育てていいか検討もつかない。そんなふうに思ってた人が、ただただ純粋に愛されていたということを思い出したことで、自分も誰かを愛せるようになっていたのがたまらなかった。まだ生まれていない子供を愛おしく思って、こんな風に育てるのだと決めていた。

冒頭の衝撃的な裁判シーン、孤独が歩いているような現在の描写と、島での愛情たっぷりの描写の対比が全部ラストに着地してた。

原作者も素晴らしいし、原作は読んでないけど、うまくできた映画化なんじゃないかなと思った。
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