悪夢、生命の重み。そして心の叫び。
主人公のヘンリーは恋人メアリーから赤ん坊ができたから結婚してほしいと迫られる。
いわゆる"デキ婚"だったが、生まれてきた赤ん坊は異様な容姿をしていた。
これは現実か、それとも悪夢か。
取り返しのつかない生命を授かったヘンリーは、必要最低限の世話はするものの意識が朦朧としていくのであった。
ちょうど映画監督として活動を始めた頃に結婚して子供を産んだリンチの、当時の心の葛藤が表されていたのではないだろうか。
それにしても子供をあんな容姿に描くほど憎たらしく思っていたのだろうか。
天国ならばすべて上手くいく
というセリフからも、相当追い込まれていたと想像する。
授かった命と責任によって自分の人生が霞んでしまうという恐怖に耐えきれず、苦しくも死を望んだ当時のリンチの心境が芸術となって爆発している。
非常に見応えがある作品。