たく

キートンの探偵学入門/忍術キートンのたくのレビュー・感想・評価

4.5
これはすごい傑作!
しがない映写技師がなぜか探偵学にハマってて、冒頭で「二兎を追う者は失敗する」っていうテロップが出るんだけど、この一見相容れない二つの話を融合させる手腕が見事。

彼が現実世界で恋敵に盗みの罪でハメられる情けない前半から、映画館での居眠りで上映作品のスクリーンに入り込んで名探偵として活躍していく後半の奇抜な展開。これはウディ・アレン「カイロの紫のバラ」で映画俳優が第四の壁を破って現実世界に入ってくるのと逆の演出になってて、キートン作品へのオマージュだったというのを今さら知って感動。
ワインで毒殺しようとして乾杯時にグラスが間違って逆になっちゃったのを、ゴミが入ったからとあわててグラスを取り上げるのがチャップリン「殺人狂時代」の演出に酷似してて、ここも震えたね。

後半の体を張ったアクションが相変わらずキレキレで、カーアクションの迫力も見事。
現実に戻ったキートンが誤解の解けた娘さんとやりとりするのを映写窓越しのスクリーンに見立てたショットと、実際の上映作品のスクリーンが交互に対比される演出が最高にシャレてた。
たく

たく