BOB

ウィンターズ・ボーンのBOBのレビュー・感想・評価

ウィンターズ・ボーン(2010年製作の映画)
3.5
サンダンス映画祭でグランプリを獲得した、ジェニファー・ローレンスの映画初主演作。

ミズーリ州オザーク山地。病気の母親と二人の弟妹と一緒に暮らす17歳の少女が、保釈中に行方不明となった父親を探す。

"like a dog digging after a winter's bone" 🐶🦴

興味深い村社会ミステリー映画だったが、物語の社会背景が掴めなくてスッキリしなかった。というのが鑑賞直後の率直な感想。周辺情報を調べてみると、この映画の真髄がかなり見えてきた。

ヒルビリーの少女が、村の掟に抗いながら、消えた父親の真相を粘り強く探し求める物語。ティーンエージャーが大人社会に足を踏み入れて一人前になるというComing of age storyと、知られざるヒルビリーの村社会の実態に切り込んでいく社会派ドラマが並行して描かれていく。

法ではなく、掟が"正義"な村社会。

このラストは複雑な気持ちにさせる。目先の事だけ見れば、家族の生活が守れて良かったのかもしれないが、果たしてこの閉鎖的な村に取り込まれた彼女に、明るい未来はあるのだろうか。

ジェニファー・ローレンスが、初主演とは思えない堂々たる演技。一家の大黒柱としての責任感や芯の強さなど大人びた一面を見せる一方で、ティーンエージャーらしい子供っぽさややさぐれ感も覗かせた。本作の演技が高く評価され、弱冠20歳にしてアカデミー主演女優賞に初ノミネートされた。

📝ヒルビリー
18世紀、イングランド系移民より遅れてアメリカへと渡り、主にアパラチア山脈の南部やオザーク山脈の高原に住み着いた"スコットアイリッシュ"の人々のこと。「ヒルビリー」という言葉は、"山に住む白人"の意味から、"田舎者"の蔑称へと転じ、発展から取り残された貧しい白人労働者階級を指す言葉となった。"Red neck"や"White trash"といった蔑称でも呼ばれる。

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