あるぱか

穴のあるぱかのレビュー・感想・評価

(1960年製作の映画)
4.0
数ある脱獄映画の金字塔ともいえるベッケルの『穴』
5人の囚人が脱獄を企てた実際の話が元になっていて、5人のうち当時本業俳優なのが1人という異例っぷり。
そして実際に脱獄を計画した張本人が作中で再現してみせるという斬新な作品になっている。

ブレッソンの『抵抗』とセットで比べられるけどどちらもディテールの描写が丁寧で緊張感が半端ない。ブレッソンの無駄な音を削ぎ落としまくった作風とはうってかわって、ベッケルの『穴』は脱獄映画には馴染みのないかなり豪快な音が序盤から響き渡り、それ故に一気に緊張感が走り、ひたすらに画面に釘付けになった。
音楽なしのモノクロ映画でここまでの緊張感を保つのがまじで凄い。

5人それぞれのキャラクターも隙がなく魅力的で、その個性が集約するラストの盛り上がりも素晴らしかった!
所長も大物だわ。
あるぱか

あるぱか