ゴン吉

ジャイアンツのゴン吉のレビュー・感想・評価

ジャイアンツ(1956年製作の映画)
4.2
メリーランドからテキサスに広がる大農場主に嫁いだ女性の半生を描いたヒューマンドラマ。 
ロック・ハドソンとエリザベス・テイラーが共演、ジェームズ・ディーン、デニス・ホッパーらが共演。
ジェームズ・ディーンは本作の撮影終了1週間後に他界し、彼の遺作でもある。

1920年代。
東部メリーランドの令嬢レズリー(エリザベス・テイラー)は、南部のテキサスから馬を買いに訪れた大牧場主ビック・ベネディクト(ロック・ハドソン)に一目ぼれし、荒馬”戦いの風”とともに嫁いでいく。
勝気のビックの姉が、レズリーが連れてきた”戦いの風”を乗りこなそうとして振り落とされて死んでしまう。
一方、東部出身のレズリーは南部のビックと考え方が異なり、二人には喧嘩が絶えなかった。
そんな二人に双子の兄妹が生まれ、その後、娘も誕生する.... 

本作は1978年までアメリカ歴代興行収入第1位のヒット作。
人種の偏見が強い南部に東部から嫁いで来た女性の生き様と日常が描かれている。
南部でも牧場中心の産業から、石油の油田採掘、飛行場やホテル建設など時代とともに移り変わっていく。
しかしメキシコ人や先住民に対する偏見は根強く残ったまま。
そんな中で親の思いとは裏腹に子供たちはそれぞれの道を歩んでいく。
長男はメキシコ人の妻を娶るが、妻は白人からの差別を受け、白人の店では対応してもらえない。
やがて孫もでき、白人と混血の二人の孫が仲良く並んで立っているのが微笑ましい。
そんな白人の偏見や愚かさを牛や羊が笑っているシーンが、皮肉いっぱいで素晴らしい。
ヒロイン役のエリザベス・テイラーは、夫を愛しながらも自分の考えをしっかり持った気丈な女性を演じ、遺作となったジェームズ・ディーンは、悩める青年を好演しています。
女性の自立や人種偏見問題、油田採掘による一攫千金のアメリカンドリームなどアメリカならでは作品です。
「100年の月日が流れて ベネディクト家は 真の大成功を手にした と」
「私は90歳になっても 君を理解できないだろう」 

2023.2 NHK BSP で鑑賞(字幕:稲田嵯裕里) 
第29回 アカデミー賞で監督賞を受賞(1957年)
ゴン吉

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