昼行灯

俺たちの血が許さないの昼行灯のレビュー・感想・評価

俺たちの血が許さない(1964年製作の映画)
3.3
珍しくバッドエンドだ。前半の軽快なテンポとは裏腹に、結末での血まみれの小林旭を捉える長回しがいい。

物語前半の高橋英樹の家に同僚の女が尋ねてくる際、障子1枚の左側に同僚、右側に母親が配置されてるのが面白い。高橋英樹がそれぞれと話すために障子を移動させると、片方は障子と壁の間に挟まれてしまう。障子が2人を隔ててるのは、2人が対立していることを示しており、障子は高橋英樹なのではないか。だから高橋英樹が障子を片方に寄せてもう片方に話しかけると、障子が寄せられた側は痛い目を見る。一連の流れのあと、高橋英樹が障子を敷居から外して2人で会話するのは物語の結末で2人が打ち解け合うことを示唆してるんだとも思う。障子があるうちは2人は並列してたけど、結末ではお互いの目を見て向き合って会話してたのも心的距離を視覚的に表しているといえる。

その他面白演出ポイント☟
・小林旭高橋英樹兄弟が車の中で話し合う時、車から見える背景が浜辺の波飛沫になっている。ヤクザたちが2人を待ち受けており、厳しい状況になることを暗示してる。
・キャバレーで高橋英樹が酒をあおるクロースアップと、歌手の黒人が気持ちよさそうに歌うクロースアップが交互に挿入されている。歌手が歌が盛り上がるにつれて恍惚の笑みに近づくのと高橋英樹が酔っ払う過程を重ねてるのでは。
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