俺たちの血が許さないの作品情報・感想・評価・動画配信

「俺たちの血が許さない」に投稿された感想・評価

このレビューはネタバレを含みます

全体としては暗い話だが途中の大胆な省略の編集が気持ち良い。
序盤の井上昭文が高橋英樹の会社に訪ねてきた時のテンポの良い展開、運転手を殴ったら即留置場、松原智恵子と会ってと思ったら監察医病院で病院で死体と対面などなど。

中盤のスクリーンプロセスによる車のシーンでは背景の海の画像の背景が全く流れない不思議な場面など鈴木清順の個性的な演出が冴える。
特に最後の銃撃戦の演出が凄い。やたらと撃ちまくり白煙が上がるなか、仁王立ちで死んでいく井上昭文、白い服を鮮血で染めながら最後は顔面も血まみれになって逆さまで息絶える小林旭。

小林旭はなんと東大を卒業したヤクザという設定。高橋英樹はやたらとノー天気な会社員(途中でくび)。ヒロインの松原智恵子もきれいだが高橋英樹の相手役の長谷百合も魅力的。この方はあまり他の日活作品では見ないのが残念。
日活おなじみの井上昭文、高品格、野呂圭介も脇で顔を出している。
netfilms

netfilmsの感想・評価

4.1
 竹やぶに囲まれた閑静な邸宅は夜露に濡れていた。大きな雨音の消えない部屋の中で男は寝間着姿で散弾銃を磨いている。そこに短刀を差した男が現れ、男は無残にも刺されて命を落とす。こうして浅利組組長の浅利源治(緑川宏)は何者かの手により殺害された。第一発見者の母親(細川ちか子)に対し、夫は「息子たちを頼む」と言い残して逝った。それから18年、兄と弟の2人の兄弟は立派な大人に成長した。兄の良太(小林旭)は一度はヤクザの道に入ったものの、今はキャバレーの支配人をする親孝行な青年であった。一方の弟の慎次(高橋英樹)はアパレル関係で働く明るい青年で、半人前でいつも仕事をサボっていた。彼が仕事を休む度に、会社の同僚の片貝ミエ(長谷百合)はいつも尻拭いをさせられていた。夏祭りの夜、浅利家を1人の男が訪れる。飛田丑五郎(井上昭文)と名乗るその男は、18年前に兄弟の父・源治を刺し殺したことを正直に告白し、土下座し詫びる。弟は父の仇に怒り心頭だが、暴力に訴えようとする弟を兄は冷静に静止した。

 血気盛んで好奇心が人一倍旺盛な弟と、いつも冷静で母親に苦労もかけたことがない兄。大黒柱を失った浅利組は解散し、東京へと引っ越し狭いながらも小さな家を立てる。夫の最期の言葉に従うように、女手一つでどこまでも質素に2人を育て上げた母親には2人をヤクザにだけはするまいという意地のような思いがあった。兄は大蔵省へ務めるという夢を、父親の仕事が理由で絶たれた。同期で彼ほど優秀でない人間たちが官僚として課長に昇進する中で、ヤクザの息のかかるキャバレーの支配人という裏家業をいったいどのような思いで過ごしてきただろうか?そんな苦労人の兄も母親同様に、粗暴な弟がヤクザになるのを頑なに反対するが、暴力沙汰で仕事をクビになった弟は、父親の背中に昔よりも深い憧れを抱いている。いつものようにスクリーン・プロセスで撮られた車中の2人の背後では津波が荒れ狂い、渦を巻く。メタファーとしての不穏な予兆を現実化するのは意外にも粗暴な弟ではなく、いつも冷静沈着な兄の方だった。凛とした清純派の松原智恵子が彼女らしくない演技を披露する中、初めての満ち足りた瞬間の次の日の平和である朝に車はセンターラインを乱すように走りながら、ゆっくりと横道へと逸れて行く。

 物語はここでも映画の設計図であっても見取り図ではない。天才・鈴木清順の色彩感覚こそは真に独特で、モダンな筆致に彩られた1コマ1コマが何度観てもまったく飽きさせない。クライマックスの草むらでの点滅する銃声。白い衣装は真っ赤な血に染まり、兄は単に復讐を遂行するだけでなく、滅びの美学の一方で弟を全力で食い止めんとする。堅気の弟と仁侠を地で行く兄との対比は、この後『刺青一代』へと見事に踏襲されるのだ。
映像がパン、パンと移っていく前半の軽快なテンポ好きです。
弟の同僚(恋人)が家の中でピストルを放つシーンには笑ってしまいました。
後半は前半とは違ったシリアスな雰囲気で、決闘シーンは予想よりも本格的でした。
kojikoji

kojikojiの感想・評価

3.9
これはいい!日活アクションらしいストーリー。小林旭がかっこよすぎ。高橋英樹の清順監督との作品はどれも好き。タイトルも奥深いと思う。ヤクザの家に生まれ、血を恨みながらも自ら道を外した兄と、まっすぐに生きるやんちゃな弟。対照的な兄弟というのは「嵐を呼ぶ男」にもある兄弟像。それでいてお互い通じあっている。そんな二人を最後母親が語るシーンと、旭の死に際のセリフも相まって泣ける。予想以上に良い作品。見どころなシーンも多く最後まで飽きさせない。さすが清順監督。
Hiromasa

Hiromasaの感想・評価

4.0
ヤクザの事務所で上映される、旭の尾行映像と松原智恵子の事故映像。この映像のでたらめさには笑ってしまう。本作で、『関東無宿』の死の美学に彩られた小林旭は死に、代わりに「弟」として不死身の男高橋英樹が登場する。
ななみ

ななみの感想・評価

3.2
アキラと英樹が兄弟。
チーコ、そりゃ顔面が美しいからどんなメイクももちろん似合うけどこの役はチーコの役じゃない。結局これ以外はほぼいつもの路線でいってくれた日活さんさすが。
英樹はこういうお気楽な弟キャラ合ってる。地に近そう。
アキラ「・・・ナマ言うな」がかっこよすぎる。
昭和レトロな映像美を堪能できる作品でした。
眺めてるだけで満足。

この時代の邦画は活気があるというか。
決まり事がある中でそれぞれの作品が個性を出してくみたいな形があって楽しいです。
たぶん本作は当時の作品としては、かなり個性的なほうだったんだと思います。
今見てもカットワークがとても斬新。
話の運び方も斬新。

車が海の中を走ってるように見えるシーンがとてもいい。深い!
慎次と良太が乗った雨の中を走る車の背景が、”荒れ狂う波のスクリーンプロセス”というシーンがある
ENDO

ENDOの感想・評価

4.0
ニヒルな小林旭は最初から死人。井上昭文演じる飛田丑五郎は仁王立ちで絶命する。冒頭が明朗快活な高橋英樹のサラリーマン物語(これはこれで観たい)のノリなので全く虚無的な着地(傾斜に頭を下にして血塗れで事切れている旭)に気持ちが引き裂かれる。要素は多いのだがどこか散漫なラスト。動揺とともに茶碗が欠ける演出と椿が沓脱石に落下する場面が出色。
喧嘩→収監を10秒くらいで処理する密度に唖然とする。雨の中運転してるのかしてないのかわからない車中のシーンも冒険しすぎ。ただ、ずっとセットや街で展開してきた物語が長野の広々とした草原で決するリアリティ?(やっぱ殺しは山中なんだなという)になんとなく惹かれたし、小林旭への過剰な血糊もカッコよかった。
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