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めぐりあいのseapony3000のレビュー・感想・評価

めぐりあい(1968年製作の映画)
5.0
川崎駅の人混みのなか弾けんばかりに身体を動かし、喫茶店からワコちゃんを発見しては往来激しい通りに飛び出して追いかける。4人家族の狭い団地で自分の居場所はビーチチェアの幅しかないベランダ。黒沢年男の美しくて若い肉体をこれでもかとみせつけられる。海水浴場で貝殻、岩場まできて揉めて土砂降りのなかダンプの荷台あげて大騒ぎ。若いふたりの喜怒ありすぎのエピソードだけでも盛りだくさんの素晴らしさに胸いっぱいなのに、ここにお互いの家族の話も絡んで影響してきてたまらなくなった。晩酌がなかったらここまでやってこれなかった森光子の最後の言葉は「生きている人間のほうが大事」火葬場の黒い煙を背景に「ひとりでやれるところまでやってみる」と笑顔で決意するワコちゃん。年男んちもいろいろあって大変だけどさ、ワコちゃんの強さと優しさが一枚上手なのも泣けてくる。横浜ドリームランドで「待ってるよ」「待ってたのは私の方よ」とか、心に刺さるセリフがバシバシ出てきたな。オリエンタル自動車協賛なのか社内の様子も細かく紹介されて中身みっちり。冒頭の2本の煙突のあいだにちょこんとレイアウトされたタイトルの文字の可愛らしさも忘れがたい。
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